ロシア軍の攻撃ヘリKa-52アリゲーターがウクライナ軍の携行式対空ミサイル(MANPADS)による攻撃18発を退けたとロシアメディアが報じました。
ロシア国防省の発表を基にした報道によれば、ウクライナで戦闘任務中の1機のロシア軍のKa-52攻撃ヘリが「スティンガー」など、ウクライナ軍のMANPADSによる18発の攻撃を受けるも、それを全て退けました。それを可能にしたのが航空機用アクティブ防護システム「L-370 Vitebsk(ビテブスク)」です。
L-370 Vitebsk
ビテブスクは2010年にパリで開催された防衛展示会「ユーロサトリ2010」で初めて公開され、2015年から生産されています。細かな仕様は公開されていませんが、赤外線・レーザー誘導の地対空・空対空ミサイルに対する対策装置を搭載。この装置は、方位120度、仰角60度の範囲から迫るミサイルの脅威を検知すると、フレア、チャフ、照明弾、電子妨害などのさまざまな対抗策を実行し、ミサイルを混乱させ無力化します。防護システムは、直径約0.5mの金属ボールの形状をしており、鳥の卵のように見える事から「生命の卵」と呼ばれています。ヘリコプターには計3基搭載されており、1つは尾部に、2つは胴体下部に配置されています。
2015年にMi-8に搭載した行われたテストではロシア製のMANPADS”9K38 イグラ”による20発の攻撃を退けることに成功したと発表しています。VitebskはPresident-Sという名で輸出もされますが、当時は非常に創造的で、保護システムの通常の傾向から外れていたため、海外の顧客はそれに興味を示さなかったとされいます。
Russian Ka-52 helicopters fire Vikhr ATGM against 2 x Ukrainian M2A2 Bradley ODS-SA IFVs. pic.twitter.com/DPsDxWf3ZP
— Clash Report (@clashreport) June 12, 2023
「空飛ぶ戦車」と言われるKa-52は厚い装甲で覆われていますが、ウクライナでは少なくとも35機がウクライナで撃墜されており、Ka-52飛行隊の約3割を失っています。ビテブスクが全機に搭載されているのかは不明です。損失が多くなったせいか、先日始まったウクライナの大規模反攻作戦では最大射程8kmのヴィーフリ対戦車ミサイルを駆使して、MANPADSの射程外から待ち伏せ攻撃を行う様子が多数投稿されています。
ビテブスクはKa-52の他、Mi-8、Mi-26ヘリ、Su-25攻撃機に搭載可能です。