ロシア軍の大型輸送機Il-76が不正部品使用による故障で運航停止に

ロシア軍の大型輸送機Il-76が不正部品使用による故障で運航停止に
©Rostec

ロシア航空宇宙軍のIl-76MD-90A大型輸送機5機が、規格違反の低品質のベアリング部品を不正使用していた事で着陸装置に不具合が発生したことにより、運航停止に陥っていることが分かった。

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ロシアの新聞「コメルサント」は19日、ロシア連邦捜査委員会の主捜査部が、バラシヒンスキー鋳造機械工場」(BLMZ) が大型輸送機Il-76MD-90Aに低品質のベアリングを供給したとして、BLMZの幹部に対して刑事訴訟を起こしたと報じた。同社はロシア国防省との契約の時間的制約を満たすために、出所不明の安価なベアリングを購入し、自社工場製のものであるかのように文書を偽造したことが判明している。彼らはロシア国防省関係者に賄賂を渡すことによって偽造の承認を得たことを明らかにしている。つまり、この不正には国防省も加担していた事になる。ロシアのメディアは、部品の欠陥が航空機の故障とその後の運航停止につながったと指摘し、「さらに深刻なのは、ロシアの国益と防衛力が著しく損なわれたことだ」と指摘した。ベアリングは車輪の製造に使用されており、基準を満たさない部品を使用した事で着陸装置が故障。部品交換や検査のため少なくとも5機のオーバーホールが必要になり、運航停止となった。法執行機関はBLMZの文書を押収し、工場などを家宅捜査。創業者や経営幹部らを尋問している。軍と防衛企業間の収賄や不正は戦争が起きた事がいろいろ明らかになっており、ロシア当局は自国の産業・貿易当局は内部調査体制を強化している。

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Il-76MD-90A

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Il-76はソビエト時代にイリューシン設計局が空挺任務、軍事装備、兵員、車両、および貨物を輸送するために開発した大型ジェット輸送機。1967年に開発が始まり、1974年からソビエト軍で運用が始った。その後、何度も改良を加えながら新しいモデルが生産され、同シリーズは50年に渡って運用され続けている。2019年に就役した最新のIl-76MD-90Aでは貨物の搭載能力が48tから60tに増加、燃費効率も向上、航続距離は18%延長。 126人の落下傘兵、145人の部隊を一甲板配置、機内を二階層にすることで最大225人の部隊、114人の負傷者を収容、運ぶことができ、最大5000kmを飛行する。現在のIl-76の主力はこの近代化版になるが、2023年末時点での保有数は18機しかなく、今回、その内、5機が運航停止となった形だ。バージョンは不明だが、ウクライナとの戦争では6機が損傷ないしは破壊されており、5機の運航停止で稼働率は半数を割っていると思われる。ロシア軍は輸送機が不足しており、退役した大型輸送機An-124の復活を計画していると報道されている。

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