戦車だけではない!ロシア、25年間眠っていた大型輸送機An-124を復活させる

戦車だけではない!ロシア、25年間眠っていた大型輸送機An-124を復活させる
SNSより

航空輸送能力が著しく低下しているロシアは、25年間眠っていたAn-124大型輸送機を復帰させる準備を進めているとロシアメディアが報じている。

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2024年3月29日のロシアメディアの報道によると、退役してモスボールとして保管されていたAn-124大型輸送機を使用可能な状態に戻すための修復と近代化のため、ウリヤノフスク・ヴォストーチヌイ空港のアヴィアスター航空機修理施設に移送されたと報じた。これはウクライナ侵攻によってうけたロシア航空宇宙軍の輸送能力を補うためとされており、新規で生産するよりも、モスボールとして保管されていた機体を復活させる方が手っ取り早いという判断によるものとされている。

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An-124輸送機

An-124は、ウクライナのアントノフ設計局が開発した大型貨物輸送機。正式名称はAn-124 Ruslan。ソビエト時代の1970~80年代にかけて開発され、1986年からソ連空軍で運用が始まった。軍用輸送機として開発された機体だが、ソ連崩壊後の1992年に民間利用が認められ、世界で2番目に大きな民間用の貨物輸送機でもある。生産は2004年で終了しているが、現在もロシア空軍で利用されており、ウクライナでもアントノフ航空が輸送機として運用している。

最大離陸重量は405トンでペイロードは約150トン、T-72/80/90といったロシア製主力戦車であれば最大3両、BMPシリーズの歩兵戦闘車であれば最大5台を搭載輸送できる。最大速度は800km/hで航続距離は約5000km、無積載であれば15,000kmを飛行する。現在、ロシアには26機のAn-124があるとされ、12機が現役、14機が予備役として保管されている。予備役の機体が復帰すればロシア軍の航空輸送能力は飛躍的にアップする。

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An-124の資産はウクライナにある

しかし、復帰させるのはそう簡単ではない。An-124輸送機は前述したようにウクライナのアントノフ設計局によって開発されており、機体とエンジンはすべてウクライナで製造されており、設計資産はウクライナが保有。ソ連崩壊後、生産終了後もウクライナでメンテナンス、スペアパーツが生産されていた。2008年にロシアはウクライナと共同でAn-124を再生産するとも発表している。

しかし、 2014年のロシアによるクリミア併合以降、ウクライナによるロシアのAn-124のサポートは中断、再生産の話も無くなっている。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣は、自力でAn-124でメンテナンスと改修を行うことができると述べている。しかし、肝となるエンジンなどはウクライナのサポート無しでは難しいため、2019年には国産エンジンに変えることを発表。ショイグは49基の改修済みエンジンが稼働していると述べている。

また、機体が全長69.1m、翼幅73.3m、全高20.78mと超大型であるため、解体しない限りは地上輸送は不可能で、修理施設に移送させるだけで多大な労力とコストがかかる。外装は錆びだらけで保管状態は良くなく、25年間眠っていたので、飛行は不可能と思われるが飛行して移動したとの情報もある。ロシアは半世紀ほど眠っていた戦車や戦闘車を復活させているが、精密機器の集まりである航空機は戦車のように簡単ではなく、もし、不具合があれば大惨事は免れない。

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ロシア軍の輸送機の損害

A-50早期警戒機のベースのロシアのIl-76大型輸送機が圧力試験中に爆発
Il-76(mod russia)

ロシア航空宇宙軍の現在の主な軍用輸送機はIl-76になる。1967年に開発が始まり、1974年からソビエト軍で運用が始まった機体でAn-124よりも古く、搭載能力も半分しかないが、過酷な環境でも運用が可能で、機体サイズもAn-124より一回り小さく使い勝手もよい。何度も近代化改修を重ねており軍用輸送機としての性能は高い。しかし、ウクライナとの戦争でこれまで6機を損傷ないしは破壊され失っている。ロシアには100機以上のIl-76があるとされているが、直近の改良モデルのIl-76MDはまだ数機しかなく、失った機体のほとんどがIl-76MDとされている。

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