ロシア国防省は、兵力不足に悩む軍のために40万人の新兵を追加することを目標に、新しい採用活動を開始しました。ウクライナで命懸けで戦うことを念頭に新兵の給与は大幅にアップされます。
Just for fun – recruitment video for the Russian contract Army.
— Natalka (@NatalkaKyiv) April 19, 2023
Looks like they are stepping up their game. 🙃#Russia #RussianArmy pic.twitter.com/CGpQwAtoIX
ロシア国防省は新兵の採用活動強化の一環として、新しいリクルート動画を公開しました。動画にはスーパーの警備員、ジムのインストラクター、タクシーの運転手として仕事に就く屈強な男性たちが映し出され、「あなたは本当にこのような擁護者になることを夢見ていたのか？」「これはあなたが選びたかった道ですか?」と問いかけます。そして、彼らは兵士の姿になり、濃い霧の中を歩き出します。そして、「君は本物の男だ！ひとつになれ！」と兵士になることを呼びかけます。彼らの仕事も重要であり、平時では無くてはならないものですが、この動画は一見、男性たちが就いてた仕事を卑下するように見えます。また、屈強な男を前面に出すのも、現代の若者には受け入れられるのかは疑問です。
世界トップレベルの初任給
しかし、ロシア国防省は新兵として契約を結んだ者には給与の面でかなりの高待遇を用意しています。軍と契約を結んだ者には、少なくとも204,000ルーブルの月給が約束されています。日本円で約３２万円です。ロシア兵の給与は士官で82,700ルーブル、新兵であれば38,100ルーブルだったので、およそ、６倍です。この給与は自衛隊の一般曹候補生、幹部候補生、アメリカ陸軍の一等兵の初任給よりも上であり、おそらく、新兵の給与水準としては世界でトップかもしれません。ロシアの平均月収の倍以上でもあり、給与が少ない若者や、貧困層が多い地方や少数民族の人たちにとっては非常に魅力的であり、募集効果はあるでしょう。
インセンティブ
給与は基本給だけではありません。戦場での戦意、士気向上のためにインセンティブも用意しています。敵の兵器の破壊、または鹵獲に応じて8,000ルーブル（約1.3万円）から最大50,000ルーブル(約8万円)の報奨金を用意。回数に制限はありません。また、ロシアのある民間企業は欧米から提供される戦車を破壊、または鹵獲した者には日本円で2000万円の報償金を与えると公言しています。軍に入隊してウクライナで戦えば一攫千金も夢ではありません。
しかし、そのためには大きな代償を払う可能性があります。先日、漏洩した米国防省の機密文書によれば、ロシア軍の死傷者数を189,500〜223,000人と推定、35,500〜43,000人が戦死したと分析しています。ウクライナ国防省の統計では４月２５日時点で18.8万人が戦死しています。ロシア軍の戦い方はソ連時代と変わらず、人海戦術で兵の損失を顧みない戦法を取っており、特に練度が低い、動員兵や徴収兵は弾除け、敵の位置を探るための尖兵としてろくな装備も持たずに最前線に送り込まれているとされています。生きているうちの待遇はいいかもしれませんが、ロシア国防省は昨年３月にウクライナとの戦争で戦死したロシア兵の家族に１万１０００ルーブル（約1.2万円）を支給すると発表しています。命の対価としては非常に安く、大金を得るためには生き延びなくてはなりません。
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