高価なF-15戦闘機で安価な自爆ドローンを撃墜。費用対効果は最悪です

イエメン内戦でハーディー政権を支援するサウジアラビア空軍のF-15戦闘機が反政府派でイランが支援するシーア派武装組織のQasef‐1(カセフ)自爆ドローンを対空ミサイルで撃墜する様子が撮影されましたが、費用対効果が最悪な撃墜だと話題です。

sponser

ドローンを撃墜するF-15

映像では低空で飛ぶドローンが映し出せれ、間もなく爆発が起き、ドローンは墜落していき、後方から飛行するF-15の姿が見えます。映像ではパッと見、何が起きたか分かりませんが、スロー再生で見ると、後方からミサイルらしき飛翔体が飛んできて爆発するのが見えます。ドローンに直撃というよりは近くで爆発します。使用されたミサイルは不明ですがAIM-120CアムラームかAIM-9Xサイドワインダーと推測されています。
低速で飛行するドローンを戦闘機で撃墜することは簡単なことです。問題はその費用対効果です。

sponser

最悪の費用対効果

Qasef‐1ドローンはイランが開発した自爆ドローンAbabil-2をベースにシーア派武装組織が開発したといわれる自爆ドローンです(イランが製造して提供しているという噂もある)。機体前部に30kgの弾頭を搭載して、遠隔操作、またはGPS誘導で目標物に体当たりします。Ababil-2のスペックから推測するに最高速度は370km/h、航続距離は120kmになります。このドローンの製造コストは数千ドル(数十万円)とされています。

それに対し、F-15のコストは非常に高価です。サウジアラビア空軍も保有するF-15Cの飛行1時間当たりのコストは約24,000ドル(250万円)です。飛ぶだけでドローンのコストを上回ります。更にAIM-120C アムラームは一発約100万ドル、AIM-9Xサイドワインダーは約60万ドルといわれています。つまり、数千ドルのドローンを撃墜するのに60万ドル以上のコストを費やしたことになります。

同月7日にはサウジアラビアの東部ラスタヌラにある石油積み出しターミナルが同武装組織から弾道ミサイル8発とQasef‐1ドローン14機の攻撃を受けています。この時、サウジアラビア軍はF-15戦闘機とパトリオット地対空ミサイルで撃墜しています。パトリオットミサイルのユニットコストは200~300万ドルと更に高価です。

小型ドローンは安価で開発も簡単で、テロリストや武装組織にとっては有効な攻撃手段になっています。現在、それを確実に迎撃できるのは高価な対空ミサイルしかありません。自分たちを守るために背に腹は代えられませんが、費用対効果は最悪です。

sponser
sponser
高価なF-15戦闘機で安価な自爆ドローンを撃墜。費用対効果は最悪です
フォローして最新情報をチェックしよう!