お祝いなどで空に向けて銃を撃つのは死の危険

sponser
alaraby.co.uk

中東やアフリカの人がお祝いなどで空に向かって銃を乱射する光景を見たことはないだろうか。物騒な光景だが空中に向かって撃つので人には当たらないと思うかもしれないが、あれは撃った後には弾丸の雨が降るとても危険な行為なのだ。

sponser

空中に銃を撃つのは世界的な慣習

空中に向かって銃を撃つ行為はアジアや北米、ヨーロッパにも広まる世界的な慣習でもある。映画やドラマを見ていると武装勢力が勝利の祝いや気分が高揚した時に撃つ行為に見えるが、銃の所持が許可されている国では結婚式や新年などお祝い事の時に祝砲として実弾で発砲して祝福している。世界的に人気のサッカーでは自国の代表チームが好成績を収めると祝砲を上げる事も多い。

落下してくる弾丸は危険

空中に撃った弾丸はもちろん無限に飛ぶわけではない。銃や弾丸の種類によって異なるが、世界的に人気で広く普及しているAK-47ライフルに使用される弾丸7.62㎜弾の場合だと、頭上に放たれた弾丸は上空1000~2000mに達する。空気抵抗と重力によって失速した弾丸は頂点に達すると、今度は落下してくる。落下してくる弾丸は発射した時と比べて、火薬やライフリングによる推進力は失っており、空気抵抗も受け、だいぶ失速している状態になる。しかし、弾丸は空気抵抗を逃がす設計になっており、実は落下スピードも威力も致命的な状態で落下してくる。

落下する弾丸の威力は?

7.62㎜弾は30口径になるが、1962年の調査によると、この弾丸で落下速度は秒速91m/sになる。この速度はサバゲー使用されるエアガンのBB弾とだいたい同じ速度になる。しかし、エアガンで使用されるのは0.20gの円形のBB弾になる。方や弾丸は先が尖った10gほどの鉛だ。ジュール(J)というエネルギー量の単位があるが、91m/sのBB弾は0.828Jになる。7.62㎜弾だと41.4Jになる。およそ50倍の威力だ。
この威力は頭蓋骨を貫通する威力があり、調査では秒速61m/sでも貫通する場合があるとのこと。そして、更に致命的なのが、避けようにも落下地点の予測がつかないことだ。

実際にあった祝砲が原因の事故

2003年にイラク戦争でサダム・フセイン政権が倒れた時、イラクの民衆は祝砲を上げたが、それが原因で20名が無くなっている。2007年には同じくイラクでアジアカップでの初優勝を祝う祝砲で3人が亡くなっている。

2011年にはフィリピンで新年のお祝いのために空中に発射された弾丸によって3人が亡くなっている。2010年にはトルコで新郎が自分の結婚式でAK-47で祝砲を上げて参列した3人の親戚が亡くなった。

銃社会のアメリカでも独立記念日などに祝砲を上げる慣行があり事故が度々起きている。2011年には11歳の女の子が休日のお祝いで空中に撃ったピストルの弾丸で亡くなっている。2013年には独立記念日の祝砲で撃たれた思われる40口径の弾丸が7歳の男の子に首に当たって亡くなった。アメリカではカリフォルニア、テキサス、アリゾナなど多くの州で空中に銃を発射することを禁止ている(軍人の葬儀での弔砲は空砲)。

アメリカのように規制を設けている国はまだまだ少なく中東、発展途上国では慣習としてまだ行われているようだ。ただ中東でもそのような慣習はやめようという声が出ている。下の動画はレバノンの擁護団体Cheyef 7alakが祝砲の危険性を啓蒙する動画になる。レバノンでも銃で祝砲を上げる慣習があり、事故が多い。

もし、海外で祝砲に出くわす場面があったら頭上に気を付けよう。

sponser

https://www.thetrace.org/2015/07/celebratory-gunfire-july-4-fireworks/
https://www.pri.org/stories/2016-06-20/partying-lebanon-means-shooting-guns-air-even-though-it-kills-people

sponser
お祝いなどで空に向けて銃を撃つのは死の危険
フォローして最新情報をチェックしよう!