中国広東省珠海市で2024年11月12日から17日まで開催されていた中国最大の航空ショー「中国国際航空宇宙博覧会」では中国が開発する数多くの新兵器がお披露目された。その中から注目すべき兵器6つを紹介する。
J-35A第5世代ステルス戦闘機
Finally got HD clip of J-35A… https://t.co/lVaWPNWMzq pic.twitter.com/2KI6c3pjCb
— Húrin (@Hurin92) November 21, 2024
J-20に続き、中国にとって2番目の第5世代ステルス戦闘機になり、2つのステルス戦闘機を持つのはF-22とF-35を持つアメリカに続き2か国目となる。まだ、開発中の段階だが、今回の航空ショーで初めて飛行する様子が公開され、完成が間近である事を窺わせた。J-35は中国瀋陽飛機工業集団が自費開発したJ-31をベースに艦載機仕様にアレスティング・フックやカタパルトバーと折りたたみ式の主翼を採用して開発された機体。J-20よりも小型で軽量であり、2022年6月に進水した中国3隻目の空母で電磁カタパルトを搭載した「福建」の艦載機としての運用を予定している。F-35ライトニングIIに似た外観を持ち、これらを模倣しているとされるが、F-35と違うのは単発エンジンではなく、双発エンジンである点だ。ロシア製のRD-33をベースとした国産のWS-13エンジンを搭載しているが、その性能はまだ未知数な部分が多い。
J-20S複座型第5世代ステルス戦闘機
AVIC introduced J-20S, a dual-seat variant of Chin's J-20 5th generation stealth fighter jet at Zhuhai Air Show 2024. It would be worlds first dual-seat stealth fighter. #AirshowChina2024 #ZhuhaiAirShow2024 #ZhuhaiAirShow pic.twitter.com/VlhvRorCib
— Global Defense Agency (@Defense_GDA) November 11, 2024
J-20は中国最初の第5世代ステルス戦闘機で2017年に就役、既に200機以上が生産させている中国人民解放空軍の主力戦闘機の一つだが、今回、初めて公開されたのはその複座型であるJ-20Sになる。中国のJ-20を始め、アメリカのF-22、F-35。ロシアのSu-57と世界で運用中の第5世代戦闘機は実は全て単座型で複座型は無かった。J-20Sは世界初の複座型の第5世代ステルス戦闘機になる。複座型の戦闘機では、前席と後席のパイロットが役割分担して機体を操縦する。前席のパイロットは主に機体の操縦と、近距離での戦闘を担い、後部席のパイロットはナビゲーションやレーダー探索、中長距離ミサイルの照準や操作といった火器管制装置の操作を担当。タスクを分担する事で、パイロットの負担が減る。J-20Sではウィングマン、ドローンといった無人機との連携を想定しており、後部席のパイロットは無人機の操作を担うとされる。
J-15T艦載戦闘機
実戦化訓練に参加するJ-15D、J-15T、J-15。 pic.twitter.com/XFjtgNkgko
— お砂糖wsnbn (@sugar_wsnbn) November 23, 2024
J-15Tは福建の電磁式カタパルトでの運用を想定したJ-15戦闘機の改良モデルで、第5世代アビオニクス、最新のAESAレーダーを搭載、ステルス コーティングが施されているとされている。J-15多用途戦闘機は中国の空母建造計画のために2000年代に開発が始まった機体で中国初の艦載機モデルでアレスティング・フックと折りたたみ式の主翼を備えている。同機はロシアのSu-33艦上戦闘機を無許可でコピー、リバースエンジニアリングする形で開発しており、国産のアビオニクス、エンジンを搭載。2014年から運用が始まっており、既に遼寧、山東の両空母に搭載、運用されている。現状の母艦である遼寧、山東の両空母がスキージャンプ式の飛行甲板であるため、離陸重量を軽くする必要があり、搭載燃料や兵装が制限されていたが、福建の電磁式カタパルトであればこれらの制限が無くなることが見込まれている。中国は同機を第4.5世代戦闘機と評価している。
PL-15E空対空ミサイル
PL-15は射程200km以上の長距離空対空ミサイルでJ-35、J-20、J-15に搭載されている。PL-15Eはその改良型で、折りたたみ式フィンを新たに採用。これにより、J-20ではこれまで最大4発だった搭載数が、最大6発に増えるとされ、対空能力の向上が期待されている。
無人戦闘艦オルカ
CSSC ‘JARI-USV-A’ USV “Orca”to Debut in China Zhuhai Airshow | Length – 58m, Beam Width – 23m, & Displacement – 500t pic.twitter.com/hGEYk4H4mB
— David Wang (@Nickatgreat1220) November 9, 2024
中国国営造船集団(CSSC)が開発した大型無人水上戦闘艦 JARI-USV-A「オルカ」。全長58m、全幅23m、最大速度40ノット(74km/h)、航続距離4,000海里(7408km)と長時間の航行が可能。ステルス性を意識した設計でレーダー視認性は低く、特徴的な三胴船型設計は、耐波性と安定性も備えているとされる。AESAレーダーと垂直発射システム(VLS)を搭載。様々なミサイルが搭載でき、対艦対空対潜能力を備える。後部甲板にはヘリコプター甲板もある。無人艇と言う事もあり、沿岸警備や有人艦に随伴し、前方哨戒艇としての運用を想定しているとされる。
ドローン母船無人機ジェタンク
China showcased its Jetank multifunctional unmanned aerial vehicle (UAV) at the ongoing 15th China International Aviation and Aerospace Exhibition in Zhuhai City, south China's Guangdong Province, on Tuesday.https://t.co/SdkZR5p46Z pic.twitter.com/EEs5hKzPVG
— CCTV+ (@CCTV_Plus) November 13, 2024
大型無人機Jetank(ジェタンク)はミサイル、爆弾と武装の他、複数の小型ドローンを搭載してドローン母艦としても運用できるされる。中国メディアによれば中国航空工業集団(AVIC)によって開発、ジェットエンジンを搭載、高い推進力により、最大離陸重量は16t、最大積載量は6tと有人戦闘機なみのペイロード能力を誇り、8つのハードポイントにはレーザー誘導爆弾、滑空爆弾、対艦ミサイル、空対空ミサイルといった様々な兵装を搭載できる。機首にレーダーシステムと電気光学ポッドを備え、衛星にリンクして、戦場の状況認識と遠隔操作機能を提供する。航続距離は最大11,500km。