黒海艦隊司令部の破壊、特殊部隊が作戦の一部を明らかに!南部軍司令官死亡か?

黒海艦隊司令部の破壊、特殊部隊が作戦の一部を明らかに!南部軍司令官死亡か?

ウクライナ軍は9月22日、ミサイル攻撃によって、クリミア半島の港湾都市セヴァストポリにある黒海艦隊の司令部を破壊しました。ロシア軍は一週間前に大規模なミサイル攻撃を受けた事で防空網を強化していましたが、再び攻撃成功を許してしまった形です。

sponser

ウクライナ軍は22日金曜の午後一時頃、クリミア半島の港湾都市セヴァストポリにある黒海艦隊の司令部を標的にしたミサイル攻撃作戦「Crab Trap」を決行します。少なくとも3発以上のミサイルが司令部に着弾。司令部は黒煙を上げ、中心部分が完全に破壊されたことが確認されました。攻撃にはイギリスとフランスから供与された巡航ミサイル「ストームシャドウ/SCALP」が使用されました。ウクライナ軍特殊部隊によれば、攻撃時、司令部では幹部会議が行われており、この攻撃によってアレクサンドル・ロマンチュク大将とオレグ・ツェコフ中将が重傷を負ったとされ、この他にも数十人の高級将校が負傷したとされます。ウクライナ国防情報長官キリロ・ブダノフは攻撃で少なくとも9人が死亡、16人が負傷、死者の中にはアレクサンドル・ロマンチュク大将も含まれるとされていますが、確認はとれていません。大将はザポリージャ周辺に展開するロシア軍の司令官です。ロシア国防省は今のところ兵士一人の死亡しか発表していません。

同司令部はこれまでも度々、攻撃対象になっており、最近続くセヴァストポリへの大規模攻撃もあり、司令部機能は別の場所に移されていたと思われていましたが、将軍クラスが会議を行っていたことから司令部機能はそのままだったと推測されます。

sponser

今回の攻撃の戦果はロシア軍の戦力に直接影響するものではありませんが、司令部が破壊されたという事実はロシア兵の士気やロシア国民に動揺を与える事になると思われます。

黒海艦隊にとっては13日に同じくミサイル攻撃によって改キロ級潜水艦とロプーチャ級揚陸艦を失ったことに続く失態です。

クラスハ4電子戦システム
クラスハ4(mod russia)

ロシア軍は13日の攻撃を防げなかったことから、ヘルソン及びクリミアの防空網を強化していました。まず、ウクライナ南部ヘルソン州にはロシアが誇る電子戦システム「クラスハ4」を配備し、クリミアへ向うミサイルが通過すると予測される同空域をカバーしていました。クラスハ4は航空機やミサイルのレーダー機能を妨害したり、無人機の電波を妨害するために開発された対空電子戦(EW)兵器です。システムは移動式で配置場所を選ばず、対AWACS、対衛星(GPS)の電波妨害能力も有し、最大300kmの有効半径で広い空域をカバーします。このクラスハ4によってミサイルの誘導機能を混乱させ、さらに標的となる可能性のある施設の周囲にはエアロゾル(スモーク)を生成できるシステムを配備、これはスモークによって標的を遮蔽隠蔽します。ストームシャドウ/SCALPの終末誘導は赤外線画像認識なのでこれを妨害できる形です。

ウクライナ軍は今回の黒海艦隊司令部攻撃の二日前の20日にも実は大規模なミサイル攻撃をセヴァストポリに向けて行っています。巡航ミサイルの「ストームシャドウ/SCALP」を搭載した11機のSu-24M戦闘爆撃機がなる編隊はフメリニツキー地域のスタロコンスタンチノフ空軍基地から離陸すると二手に分かれ、南部のオデーサ州とムィコラーイウ州の州境界とヘルソン州との州境に近いオチャコフまで飛行、この2つの発射地点から8発のミサイルと3発のスタンドオフデコイジャマーの「ADM-160 MALD」を発射。しかし、5発は途中、パーンツィリ-S1防空ミサイルシステムによって迎撃され、残りの3発はセヴァストポリ近郊で迎撃され、攻撃は失敗します。

しかし、そこでの教訓、対策を得たのか、今回は攻撃に成功しました。何発のミサイルを発射し、計何発が着弾したのかは不明ですが、ロシア側は5発を迎撃したと主張、少なくとも3発が着弾しています。同日は他の地点でも爆発があったと伝えられており、陽動作戦などもあったかもしれません。

sponser

また、20日にはヴェルフネサドヴォエにある通信センター/指揮所が破壊されており、ここはウクライナ領時代は予備司令部としても使用されていた場所で、通信網が回復していなかった可能性があります。

23日にはアメリカがHIMARSから発射可能な地対地ミサイルATACMSの供与を決めたと報じられました。まだ一両も破壊されていないHIMARSから射程300kmの長距離ミサイル攻撃が可能となると、ロシア側はこれまで以上に攻撃を防ぎきることが難しくなります。ストームシャドウ/SCALPは空中発射型でSu-24M戦闘爆撃機にしか搭載できないなど、運用上の制約が大きく、敵に発見されるリスクが高い攻撃方法でした。

今のところ、ATACMSの提供は少数とされているので、多用はできませんが、空からのストームシャドウ/SCALP、そして地上からのATACMSとウクライナ国産のネプチューンと空と陸からハイブリッド攻撃が今後、増えることになるでしょう。年内に目に見える戦果が欲しいウクライナは今後、クリミアへの攻撃をより強めるでしょう。ウクライナはクリミアの市民に避難するよう呼びかけています。

sponser

Source

https://mil.in.ua/en/news/special-operations-forces-reveal-details-of-the-strike-on-the-black-sea-fleet-hq-in-sevastopol/

sponser
黒海艦隊司令部の破壊、特殊部隊が作戦の一部を明らかに!南部軍司令官死亡か?
フォローして最新情報をチェックしよう!