スウェーデン、F-16プログラム完了後にウクライナにグリペン戦闘機を供与予定

スウェーデン、F-16プログラム完了後にウクライナにグリペン戦闘機を供与予定
NATO

スウェーデンのトビアス・ビルストローム外務大臣は、ボイス・オブ・アメリカとのインタビューで、NATOが進めるウクライナへのF-16戦闘機移送計画が完了した後もJAS-39グリペン戦闘機をウクライナに提供する用意があると述べた。スウェーデンはF-16の移行を優先させるとして、グリペン戦闘機の供与計画を今年5月に停止していた。

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ウクライナへの軍事支援に積極的なスウェーデンは早くから、国産戦闘機のJAS-39グリペン戦闘機のウクライナへの供与を計画してきた。グリペンは小型で、維持費も安く、離陸距離が短い上に整備されていない滑走路や舗装道路からも離発着が可能だ。これは戦時中で、特に前線近くの空港といったインフラの使用がままならないウクライナにとっては最適な機体だった。しかし、この計画が上がった当時、スウェーデンはまだNATOに加盟しておらず、戦闘機といったワングレード上がる軍事支援にはNATOとの調整が必須だった。その後、2023年にウクライナへの戦闘機供与の話が出るとオランダ、デンマークなどがF-16を供与する意向を発表。その他、ノルウェーやベルギーも声を上げ、アメリカも承認した。

F-35の配備が進む中、NATO各国ではF-16の退役が進んでいた事もあり、余剰となる機体が多数あったこともあり、75機の供与が決定している。これだけの数をグリペンで用意する事は不可能だ。その上、F-16は5000機以上生産されたベストセラー機ということもあり、コストも安く、述べたように丁度退役を控えていた事もあり、供与する国の負担も少なかった。更に24か国以上で採用されているため、F-16をサポートできる国は多い。実際、F-16は供与しないが、ブルガリア、ポーランドなどが訓練や機体整備に協力している。それに対し、グリペンを採用する国はNATOの中でもチェコとハンガリーぐらいしかなく、ハンガリーはこれまで一貫してウクライナへの軍事支援を提供していないのであてにできない。

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これらの理由もあり、グリペンよりもF-16のウクライナの供与が具体的に進行していく。それでもスウェーデンはウクライナへのグリペン供与を諦めていなかったが、地上兵器と違いパイロット訓練期間が長く、整備環境といったインフラの構築が必要な戦闘機。F-16の環境を整えるだけでも一杯一杯の状況でグリペンを供すれば現場は混乱するとして、F-16の配備を優先させるため、スウェーデンは今年5月にグリペン供与計画を停止する事を発表。しかし、その代わりとして同月に2機のSaab 340 (ASC-890)早期警戒機の供与を発表した。

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これは空中監視網を大幅に強化し戦闘機よりも価値が高い機体だ。2機の早期警戒機がグリペンの代わりと思われたが、スウェーデンはグリペンの供与を諦めたわけではなく、ウクライナへのF-16戦闘機移送計画が完了した後もJAS-39グリペン戦闘機を供与すると述べている。今月10日水曜にウクライナの最初のF-16移送が始まったとアメリカが発表しており、順当にいけば来年中にはF-16の配備計画は完了するかもしれない。

フランスもミラージュ2000-5の供与を発表しており、近い将来、ウクライナの空にはF-16、グリペン、ミラージュの3機の西側戦闘機が飛ぶことになるかもしれない。

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