酒とタバコはどの国にとっても税収の貴重な財源であり、例えば日本では2019年の62兆円の税収のうち、約2%(1.2兆円)が酒税、1.6%(1兆円)がタバコ税を占めています。この2つは税収確保のため度々増税されますが、あくまで、全体の税収確保ためです。しかし、スウェーデンは国防、”軍事費を確保するため”と、はっきり目的を明示して酒税とタバコ税を上げました。
スウェーデンは世界の不安定化、ロシアの脅威が高まる状況を踏まえ、防衛力を強化するため、スウェーデン史上最大の軍事投資を行う軍備強化プログラムを進めています。2020~2030年にかけて軍備の近代化、そして、5つの”竜騎兵”部隊に”水陸両用”、”砲兵連隊”、”空軍”、”小艦隊”の新しい部隊を創設。予備役を含む軍人の数を現在の6万人から9万人に増加する予定であり、これは、徴兵数を年間8,000人に増やすことで実現できます。しかし、これを行うためには現在の国防予算64.5億ドル(2020年)に対し、追加で32億ドルが必要で、政府は2020年、2021~2025年の防衛費を40%引き上げることを発表しました。結果、スウェーデンの国防費は2014~2025年の約10年間で85%増加します。
そこで、問題になるのはその財源です。政府は財源を確保するための包括的な増税プログラムを提案。その方法として酒税とタバコ税を引き上げました。酒の場合、既に価格の32%を酒税が占め、約20%が消費税になっており、価格の半分以上が税金です。これが更に高くなります。これに対し、スウェーデンのマグダレナ・アンダーソン財務相は「金曜日に酒を飲めば、良いことしていると感じる」と述べました。日本では増税のたびに批判、税金の使い道でよく糾弾されますが、このように”国防のため”という使い道がはっきりしていれば、増税されても気持ち納得してお酒が飲めて、タバコが吸えるかもしれませんね。
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Source
https://www.thelocal.se/20200921/sweden-just-raised-taxes-on-alcohol-to-fund-its-defence/
https://www.afpbb.com/articles/-/3310217