イラク戦争中、自身の命と引き換えに燃料に浸かった体で燃えさかる車両から6人の仲間を救ったアルウィン・カシェ陸軍一等軍曹に名誉勲章が授与された。
名誉勲章を与えるために法律を変更
ドナルド・トランプ大統領は4日金曜日、英雄的行為から5年以内に承認されるべきという名勲章の条件を放棄する法律HR 8276に署名し、名誉勲章をアルウィン・カシェ陸軍一等軍曹に与えることを認めた。カシェ軍曹は2005年にイラク・サマラ州で路上の仕掛け爆弾によって炎上した車両から兵士を救出するため、自身が燃料を浴び延焼する危険があったにも関わらず、燃えている車両に入り仲間を救出した。死後、この行為に対し、シルバースター(銀星章)が授与されていた。
だが、当時、カシェ軍曹の部隊の司令官であったゲリー・ブリト少将をはじめ、多くの人々が、彼の勇敢な行為は米国最高の賞を受けるに値すると主張してきた。現役、OBの軍関係者たちのロビー活動によって2020年8月にエスパー国防長官(当時)がカシェの行動が名誉勲章の授与に値することに同意。2020年9月には米国下院で名誉勲章の条件である「英雄的行動から5年以内」という時効を撤廃する法案を満場一致で可決。2020年12月4日に大統領が法案変更に同意する署名を行い、1918年に制定された法律を変更。アルウィン・カシェ陸軍一等軍曹に最高の栄誉となる名誉勲章が授与された。
カシェの英雄的行動
2005年10月17日にカシェ軍曹が乗るM2ブラッドレー戦闘車が路傍爆弾に襲われた。彼は上部の砲塔のハッチから脱出、運転手を引きずりだした。爆弾は燃料タンクを破壊、車両は炎上。しかし、中にはまだ6人の兵士と通訳が乗っていた。カシュの軍服も漏れた燃料に浸かっていたが、彼は自身の安全を顧みずに急いで車両の後部のハッチを開け、中の仲間を引きずり出した。だが、燃料に浸かった軍服は瞬く間に炎に包まれた。しかし、彼は自身の体が燃える中、なんども車両に戻り、兵士を引きずり出した。通訳は亡くなってしまったが、6人の仲間の命を救った。しかし、その代償は大きく、彼は前身の70%以上にも及ぶ2度から3度の火傷を負い、3週間後の2005年11月8日に息を引き取った。
https://valor.militarytimes.com/hero/29028