撃沈されたとされるアドミラル・マカロフは黒海艦隊の最新鋭フリゲート艦です

撃沈されとされるアデミラル・マカロフは黒海艦隊の最新鋭フリゲート艦です
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ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート艦であるアドミラル・マカロフがウクライナ軍の対艦ミサイル「ネプチューン」の攻撃によって撃沈されたと、ウクライナメディア及び、それを引用する形で欧米の大手メディアが報じています。情報はまだ不確定であり、真偽は不明ですが、存在有無の確認が容易な大型艦船で偽情報を出すとは思えず、攻撃を受けて致命的な打撃を受けたことは間違いないと思われます。撃沈が事実だとすれば、黒海艦隊にとっては先日の旗艦モスクワの撃沈に次いで大きなダメージになります。

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これまで、黒海艦隊で撃沈された主要な艦船というと、4月14日にウクライナ軍の対艦ミサイル「ネプチューン」によって撃沈された旗艦モスクワ(上)、そして、3月24日にアゾフ海に面する南東部ベルジャンシク港で弾道ミサイルの攻撃によって撃沈された大型揚陸艦サラトフになります。この2つの船、モスクワが1983年に就役した艦齢39年、サラトフに限っては1966年に就役した艦齢56年を迎える老朽艦ということで、ロシア海軍の物持ちの良さが話題になりましたが、今回撃沈されたとされるアドミラル・マカロフは黒海艦隊の主要艦船では最新鋭の艦船になります。

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2010年に建造が始まったアドミラル・グリゴロヴィチ級フリゲート艦

アデミラル・マカロフはアドミラル・グリゴロヴィチ級と呼ばれるフリゲート艦で黒海艦隊向けに設計され、2010年に建造が始まった黒海艦隊の新造艦です。6隻が建造予定で内、4隻が黒海艦隊向け、2隻がインド海軍向けになります。今のところ、完成して就役した船は黒海艦隊に所属する「アドミラル・グリゴロヴィチ」「アドミラル・エッセン」、そして、今回、撃沈されたとされる「アドミラル・マカロフ」の3隻のみで、マカロフは2017年に就役しており、3隻の中では最も新しい船になります。

アドミラル・グリゴロヴィチ級は全長124.8m、最大幅15.2 m、喫水4.2 m、排水量3260t、最高速度30ノット(56 km/h)を有し、巡洋艦と駆逐艦の中間に位置するフリゲート艦で対水上戦、対潜水艦戦、対空戦の任務を遂行することを目的にした船です。
2010年代に建造が始まったこともあり、近年主流のステルス設計を取り入れ、船体は直角と凹凸が少なく、内側に傾斜する流体的な船体設計になっています。これはレーダ断面積 (RCS)を極力減らし、レーダー波や赤外線波の反射を低減するステルス艦です。

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対空防御に関して第3世代フェーズドアレイ 火器管制レーダーを搭載、低高度の飛行体も正確に補足するとされ最大24個の標的を追跡補足します。対空ミサイルにはブークミサイルシステムの一つでVLS(垂直発射システム)型の3S90M Shtil-1を搭載。この射程30km以上のミサイルは少なくとも4基48発が搭載されていたとされます。このほか2基の30mm AK-630 CIWSを搭載しています。

しかし、これらの対空防御網はかわされ、マカロフは撃沈したとされます(上は炎上中とされるマカロフ)。マカロフが撃沈された場所はスネーク島の近海です。スネーク島は開戦後に直ぐにロシア軍によって占拠されたルーマニアにも近い孤島です。

しかし、旗艦モスクワの撃沈、更に最近では、スネーク島近海を航行していた黒海艦隊のラプター級哨戒艇2隻がウクライナ軍のバイラクタルTB2によって撃沈されるなど、スネーク島にいたロシア軍は孤立。島は同じくバイラクタルTB2によって攻撃を受け、島にあった防空網は無効化されていました。スネーク島のロシア兵を救援しに来たのかは分かりませんが、明らかに標的になっていたスネーク島近海、そして、ネプチューンの射程にわざわざ現れ、マカロフはそこで撃沈されたことになります。

モスクワの時はロシア国防省は火災といいましたが、さすがに2隻続けて火災で沈没となれば、ロシア海軍の質、練度が問われます。旗艦の撃沈、3名の指揮官が解任や戦死で不在となった今、黒海艦隊は正常に機能していないのかもしれません。

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撃沈されとされるアデミラル・マカロフは黒海艦隊の最新鋭フリゲート艦です
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