ウクライナ国防省は最初の外国人義勇兵の画像を投稿した。彼らは米国、英国、スウェーデン、リトアニア、メキシコ、インド人からなる部隊でまさに多国籍軍だ。国籍はバラバラだが、彼らに共通しているのが手にしている銃だ。みんな揃ってベルギーの銃メーカーFN Herstal(FNハースタル)社のFNCライフルを持っている。身の回りの装備は自身で持ってきてる人が多いようだが、さすがに銃をもって国境を超えることはできないので、銃器類はウクライナ軍から提供されたわけだが、これらの銃は海外からの支援によるもので、FNCはベルギーからの支援で提供されたものだ。実際、どういいた銃器がウクライナに支援されているのだろう。
ベルギー
FN FNC
ベルギーは3000挺のFN FNCアサルトライフルを提供している。FNCは1970年代に開発された5.56x45mm NATO弾仕様のアサルトライフルでベルギー軍の主力小銃の一つだが、後継のFN SCARやFN F2000の配備も始まっており、余剰のFNCが提供されたものと思わる。この他、機関銃2000挺も提供。機種は明かされていないがFN社製のMINIMIと推測される。
チェコ
世界的な銃器メーカーCZを抱えるチェコは同社製の銃を始めとして多数の銃器を提供している。
vz.82(Cz.82)
1982年に開発された9mm×18 マカロフ弾仕様の自動拳銃。3万挺を提供している。
vz.58
1958年にチェコ軍に採用された7.62x39mm弾仕様のアサルトライフル。見た目はAK-47に似ているが中身は別物。チェコ軍のかつての主力小銃だが、現在、主力小銃は5.56mm仕様のCz805 Brenに更新されている。5000挺を提供している。
vz.61
1961年にチェコ軍に採用されたサブマシンガン(SMG)。SMGとしては強力な.32ACP弾(7.65x17mm弾)を使用する。2000挺を提供している。
vz.59
1959年にチェコ軍に採用された汎用機関銃。ソ連仕様の7.62x54mmR弾とNATO仕様の7.62x51mm弾を使用するモデルがあり、どちらが提供されたかは不明。3200挺を提供している。
ZVI FALCON
チェコのZVI社が開発した特殊部隊用のボルトアクション式対物ライフル。1600m先の軽装甲車やヘリコプターを破壊するため開発された。ソ連仕様の12.7x108mm弾、NATO弾仕様の12.7x99mm弾のモデルがある。19挺を提供している。
ドラグノフ狙撃銃(SVD)
1960年代にソ連で開発された7.62x54mmR弾仕様のセミオート式の狙撃銃。ウクライナでも最近まで主力狙撃銃として仕様されていた。チェコ軍では最近、後継のCZ Bren 2 PPSを採用したばかり。12挺を提供している。
オランダ
オランダは数々の狙撃記録を持つ、最強の対物・狙撃ライフル2つを提供している。
バレット M82
アメリカのバレット社が開発した対物・狙撃ライフル。12.7x99mm NATO弾を使用し、米軍をはじめ多くの国で運用されており、実績ベースでは最強と言ってもよい銃。最大射程は2000m以上になり、数々の狙撃記録を打ち立てた。10挺を提供している。
AX
イギリスのAccuracy International社が開発する対物・狙撃ライフル。.338ラプアマグナム弾、.308ウィンチェスター弾を使う2つのモデルがある。最大射程は2000mになり、前モデルのAWMは2,475mの射撃に成功している。90挺を提供している。
ポルトガル
G3
ドイツの Heckler & Koch (H&K)が開発、1964年に登場した7.62x51mm NATO弾仕様のアサルトライフルでポルトガル軍をはじめ未だ多くの国で主力小銃として仕様されている。提供数は未公表。
この他、詳細は不明だがフィンランドが2500挺のアサルトライフル、イタリアとスペインが軽機関銃、ギリシャがAK系アサルトライフル、スロベニアがアサルトライフルを提供するなど、世界各国から多数の銃器が提供されており、今後の戦況次第では更に多くの銃器が提供されるだろう。口径がバラバラなのは兵站の面で気になるところだが、数千万発の弾薬も合わせて提供されている。