アパッチ、チヌーク、軍用ヘリの名前はインディアンからきている

アパッチ、チヌーク、軍用ヘリの名前はインディアンからきている

アパッチ、チヌーク、ブラックホーク。この名前は何を指しているかおわかりだろうか?ミリタリー好きならすぐお分かりだろう。そう米軍の軍用ヘリの名前だ。それぞれ正式名は「AH-64 アパッチ」「CH-47 チヌーク」「UH-60 ブラックホーク」となり、固有の識別値の後に名前が付けられているのだが、これらの名前は全て北米大陸の先住民族インディアンからきている。
※正確には”ネイティブアメリカン”と呼ぶらしいのですが、ここでは分かりやすくインディアンという呼称を使わせて頂きます。

sponser

なぜ、インディアンの名前なのか?

アメリカ人とインディアンは昔、激しく対立していた。1600年代、北米大陸にはヨーロッパから白人入植者が多数移住してきた。白人たちは元来そこに住んでいたインディアンたちの土地を奪い、集団虐殺を行った。白人たちはインディアンを民族浄化、絶滅させようとしていた。白人とインディアンは300年近く激しい闘争を続け、1887年にインディアンの居留地を認めるドーズ法の施行によって終焉を迎える。この間、インディアンの部族の中には白人と勇敢に戦った戦士や部族が多数いた。

最初の名前はスー族

1947年に陸軍大将ハミルトンハウズが陸軍航空軍(当時、空軍は陸軍の一部だった)に配属になる。彼は新しく配備されたヘリコプターに命名される名前が気を気に入っていなかった。ヘリは航空機と比べ小回りが利き、速くて敏捷、敵の側面を攻撃し、直ぐにフェードアウトするという特性にちなんだ名前を付けるべきと考えた。そこで彼の頭に浮かんだのがカスター中佐の第七騎兵隊を全滅させるなど、勇猛果敢に戦った北部のスー族だ。彼はスー族に敬意を払い、1953年、ベル47 (米軍ではH-13)にH-13 スー(Sioux)と命名する。これが、最初にインディアンの名前が付けられたヘリコプターになる。

インディアンの名前が命名規則になる

1969年には兵器への命名に関する『陸軍規則70-28』が作成され、主要な装備にどのような名前を付けるかの基準が設けられた。

1.尊厳を犠牲にすることなく想像力に訴える
2.兵器の能力に積極的な精神と自信を示す
3.機動性、敏捷性、柔軟性、火力、耐久性など、兵器の特性を反映する
4.設計思想や製造方法ではなく、戦術的応用に基づく
5.個人の名前が提案された場合、前述の品質および基準に関連付けらる

そして、陸軍の航空機・ヘリコプターには「アメリカのインディアンの部族と首長の名前を要求する」という基準が定められた。現在、この基準は撤廃されているが、伝統として残っており、その後もインディアンに由来する名前が名付けられている。

sponser

AH-64 アパッチ

低空飛行は注意!対ヘリコプター地雷

陸上自衛隊にも採用されてる攻撃ヘリで映画『シン・ゴジラ』にも登場している。世界最強の攻撃ヘリといわれ、優れた対地攻撃能力から戦車の天敵になる。このヘリに名付けられたのはニューメキシコなど米南西部に居た遊牧民アパッチ族になる。もともと略奪を業として、入植してきた白人に対しても行っていた。白人との闘争ではインディアンの中で最後まで戦った。ゲリラ戦を得意とし馬を使い素早く動き、そして弓矢に長け、強力な矢を素早く射った。これが名付けの由来と考えられる。

ハセガワ 1/48 アメリカ陸軍 AH-64D アパッチ ロングボウ プラモデル PT23

アパッチ インディアン
wallpaperaccess

CH-47 チヌーク

自衛隊を始め、多くの国の軍に採用されている輸送ヘリになり、前部と後部の2つの巨大なローターのタンデムローターに胴長の機体は一度に50人以上、10トンの荷物を輸送できる。由来になっているのは米北西部ワシントン州にいたチヌーク族になる。彼らは主に鮭や鱒といった川や海の幸を捕る漁業を中心に暮らしていた。彼らは漁業のために30人以上が乗れるカヌーをつくる造船技術を持っていた。彼らは定住民族で家も大きく、最大45mもある長い家を作り最大20家族が一つの家に住んだ。これらが名付けの由来と考えられる。

タミヤ イタレリ 1/48 ヘリコプターシリーズ No.2779 チヌーク HC.2 CH-47F プラモデル 38779

UH-60 ブラックホーク

自衛隊も配備する多目的ヘリになり、特殊作戦、戦術輸送、電子戦、医療搬送、救難活動など様々な任務に使用できる。由来となっているのはウィスコンシン州など米北東部にソーク族になるのだが、部族名ではなくソーク族の首長であったブラックホークからきている。彼は類まれなる指導力で他の部族をまとめインディアンを率いて1832年にブラック・ホーク戦争を戦った。戦いには敗れ多くのインディアンが虐殺されたが彼は米軍に捕らえられた。彼は後に自伝を出し、インディアンの英雄として讃えれている。UH-60以外にも過去には米軍艦艇4隻にも名付けられている。

アカデミー 1/35 AH-60L DAP ブラックホーク AM12115 プラモデル

上記以外にもOH-58カイオワ、AH-56カイオワ、UH-1イロコイなど、米陸軍のヘリにはインディアンの名前が付けられている。

sponser
sponser
アパッチ、チヌーク、軍用ヘリの名前はインディアンからきている
フォローして最新情報をチェックしよう!