韓国は１年前に大破したF-35A戦闘機を修理したいと考えていますが、修理費が機体１機分に相当するため、修理するか廃棄するかのジレンマに陥っています。
２０２２年１月、飛行訓練中に鷲と衝突し、滑走路に胴体着陸を余儀なくされた韓国空軍の第5世代ステルス戦闘機F-35Aの損傷程度が非常に深刻なことが分かりました。F-35Aは当時、射撃演習場に侵入するために高度３３０mの低空を飛行中に鷲と衝突。鷲は左のエアインテーク（空気取り入れ口）にぶつかり、そのまま隔壁を突き破って兵器室に侵入、ランディングギア作動用の油圧ダクトと電源ケーブルを損傷、着陸装置の作動を妨害した上、アビオニクスにも不具合を生じさせます。パイロットはなんとか基地に戻るも、ランディングギアが作動しないため、燃料を空中投棄した上、胴体着陸を実施、幸いパイロットに怪我はありませんでした。
事件後、韓国と米国の両政府は空軍、戦闘機メーカーのからなる韓国人１２人と米国人１４人で構成される共同調査団を速やかに設置。機体の修理については開発生産元のロッキード・マーティン社と協議を行っていましたが、協議の結果、修理費は１０００億ウォンを超えることが分かりました。現在のF-35Aの機体価格は１億ドルとされ、ウォンに換算すると１３００億であり、新たなに機体を購入するのと金額に大きな隔たりはありません。もしかすると買った当時の価格より、修理費が高い可能性があります。そのため、韓国政府は同機を経済と安全保障への影響を考慮した上で、廃棄するか修理するかを決定すると述べています。
韓国空軍は今年１月末までに４０機のF-35Aの配備を完了させましたが、運用状態はあまりよくありません。本格運用を開始した２０２１年から２０２２年６月までの１８カ月の間に、飛行不能状態（G-NORS）、特定任務不能状態（F-NORS）の判定を合わせて234回受けていたことが昨年判明。機体は納入されたばかりの最新機種であったため、これらの原因は整備上の問題が原因と分析されています。韓国空軍は２０２８年までに更に２０機を追加配備する予定です。
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