イスラエル、パトリオット防空ミサイルシステム廃止へ

イスラエル、パトリオット防空ミサイルシステム廃止へ

イスラエル空軍は今後数か月以内に同軍内では”Yahalom(ヤハロム)”として呼ばれる「MIM-104 パトリオット防空ミサイル」を廃止する予定である事を発表した。

sponser

イスラエル・タイムズの報道によれば、イスラエル空軍は今後数カ月以内に老朽化したパトリオット防空ミサイルシステムに別れを告げ、より高度な防空システムに置き換える予定であると4月30日火曜に発表した。今年2月にはイスラエル空軍は、いくつかのパトリオット・ミサイル中隊を廃止する過程にある事を発表していた。パトリオットの隊員たちは、今後、他のミサイルシステムに関する再トレーニングを受ける予定だ。

sponser

「我々は現在、システム全体が閉鎖されるまでバッテリー(の数)を減らす過程にあります。私たちは前進し、守備方法を改善する必要があることに気づきました。 防空配列の革新により、より良い運用および保守対応がもたらされます」とパトリオットを運用する防空アレイの第138大隊の責任者は述べた。廃止されたバッテリーは、より高度な防空システム、特に「ダビデスリング」と知られる中・長距離防空ミサイルに置き換えられる予定だ。

1991年の湾岸戦争で米軍のパトリオットミサイルがイラクからイスラエルに向けて発射された一部のスカッドミサイルの迎撃に成功した事で同年、イスラエルへの配備が始まった。イスラエルのパトリオットの最初の迎撃は2014年8月になり、ハマスの無人航空機2機を撃墜。2014年9月にはゴラン高原の空域を侵入したシリア空軍のSu-24を撃墜し、システムの信頼性を達成した。イスラエルンには米国とドイツから各4基、計8基のパトリオットPAC-2が配備されているが、これまでイスラエルのパトリオットが迎撃した有効標的は10個弱にすぎない。

sponser

パトリオットが配備されて以降、イスラエルは独自にアロー、ダビデスリング、アイアンドームと独自の防空ミサイルシステムを開発してきた。”アロー”は長距離防空ミサイルシステムで主に長距離弾道ミサイルを大気圏外で迎撃する事を役割として、先日のイランによるミサイル攻撃でも弾道ミサイルのほとんどを迎撃したと言われている。”ダビデスリング”は中・長距離防空ミサイルで射程は40〜300km、戦闘機や無人機、巡航/弾道ミサイルの迎撃を役割としている。”アイアンドーム”は近距離防空ミサイルシステムになり、ミサイル防衛網の最後の砦として、主にガザ地区などから飛来するロケット弾や砲弾、無人機の迎撃に用いられ、これまでの迎撃数は万を超えるとされている。イスラエルのミサイル防空網はこの3つによって三重に構成されており、パトリオットにはあまり出番がないのが実情だ。不要となるイスラエルのパトリオットについて、防空ミサイルの不足に悩むウクライナが供与求めているとの報道もあるが、現状では廃止後、どうなるかは不明だ。

sponser
sponser
イスラエル、パトリオット防空ミサイルシステム廃止へ
フォローして最新情報をチェックしよう!