英海軍空母プリンス・オブ・ウェールズは共食い整備で部品どりをされていた

英海軍空母プリンス・オブ・ウェールズは共食い整備で部品どりをされていた
HMS Prince of Wales(Royal Navy)

空母プリンス・オブ・ウェールズは故障のため、長らくドックに入っており、現在、姉妹艦の空母クィーン・エリザベスのみの体制になっているイギリス海軍は、この唯一の空母を滞りなく稼働させるために必要なパーツをプリンス・オブ・ウェールズから部品を取り除き利用する「共食い整備」を行っていると英メディアが報じました。

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故障が多いプリンス・オブ・ウェールズ

イギリス海軍2隻目の空母プリンス・オブ・ウェールズが試験航海に

2019年に就役したイギリス海軍の空母プリンス・オブ・ウェールズ。しかし、その後、頻繁に故障に見舞われており、満足な運用ができておらず、海にいるよりもドックに入っている時間の方が長い状況が続いています。クィーン・エリザベス級航空母艦の2番艦として英海軍最高の32億ポンドを投じて建造されたHMS プリンス・オブ・ウェールズは2019年に就役するも、その直後から頻繁な水漏れが発生。2020年10月には配管が破裂し、機関室に海水が浸水、電気系統が破損し、6カ月以上と長期のドック入りを余儀なくされ、搭載予定のF-35Bの運用計画も大幅に延期されます。2021年10月に完全運用能力を達成するも、2022年8月にアメリカ軍と演習を行うためポーツマス港を出港したところ、ドライブシャフトとプロペラシャフトに重大な損傷が見つかり、引き返すことに、代わりにクィーン・エリザベスが参加します。その後、10月にドッグ入りしてから以降、修理が続いています。2020年からの3年間でおよそ900日をドッグで過ごしている状況であり、2隻体制となったはずの英海軍空母は実際のところ同級1番艦で英海軍の旗艦であるHMSクィーン・エリザベスのみの体制が続いています。そのため、英海軍は唯一の空母を滞りなく運用するために、必要なスペアパーツをプリンス・オブ・ウェールズから取り除いて利用する「共食い整備」を行っていると英メディアは報じています。

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共食い整備

「共食い整備」とは機器の修理のために同じ型の機器から修理に必要なパーツを取り除き、修繕する方法で、一つを犠牲にして、一つの正常な個体を作ります。主にパーツの入手が困難な時に用いられる方法で、既に生産が停止した古い兵器などではよくある整備方法です。部品どりされた兵器は使いものにはならないので複数のパーツを取られた上、最終的にスクラップにされます。いわゆるニコイチになるため、共食い整備を続けていけば個体の数は緩やかに減少していきます。

今回、クィーン・エリザベスのためにプリンス・オブ・ウェールズからは航空機のエレベーターのチェーンや、ガスタービンエンジンに必要な高度な燃料フィルターシステムの一部が取り除かれました。これらのパーツは特注品であり、直ぐに入手することができません。この件について、英海軍は声明の中で、「パーツの交換は同じクラスの軍艦を維持するための一般的な方法である」と述べており、広報担当者は「これにより、船舶は運用可能な状態を維持し、特注機器の生産遅延によって運用に支障をきたすことを問題を回避できます」と語っています。あくまで急場しのぎのための共食い整備です。

プリンス・オブ・ウェールズは今年8月の復帰が予定されていますが、これについては懐疑的な声が上がっています。メンテナンス サイクルの関係で2024年からクィーン・エリザベスはドッグ入りするため、それまでにプリンス・オブ・ウェールズの修繕を終え、改めて完全な運用体制を確立する必要があります。

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Source

https://www.navylookout.com/repairs-to-hms-prince-of-wales-will-not-prevent-return-to-operations-this-summer/

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英海軍空母プリンス・オブ・ウェールズは共食い整備で部品どりをされていた
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