タイ政府はタイ王立空軍が運用するF-16戦闘機の後継に第5世代ステルス戦闘機であるF-35Aの購入をアメリカに要求しましたが、却下されました。タイ政府は当初、まず２機のF-35Aを購入し、2032年までに合計１２機を購入する計画で、議会で初期費用の予算も通過していましたが、頓挫した形です。
バンコクポストによれば、駐タイ米国大使のロバート・F・ゴーデック大使が５月初旬にドンムアンのタイ空軍（RTAF）司令部のアロングコーン・ワナロット長官を訪問した際にアメリカはタイにF-35Aを売却しない意向を伝えました。その後、２５日木曜にタイ空軍の報道官が時間的制約によりアメリカはタイ空軍に第5世代戦闘機を供給できなかったと公式に発表します。
断った理由
しかし、アメリカが完全にF-35Aの売却を断ったわけではありません。関係者によれば、売却を断った理由として米国防総省はタイ空軍がF-35を運用可能なレベルのインフラ施設、特に空軍基地の警備、飛行場、整備士、パイロットやその他の人員の面でまだ準備が整っていない可能性があるとの見解を示したと述べました。アメリカが求める要求に達するまで少なくとも５年から１０年かかると見ており、環境が整った時にアメリカは再度、売却を検討するとしています。米国防総省はF-35戦闘機購入の要請を断りましたが、その代わりにF-16 block70とF-15イーグル戦闘機を提供する意向を示唆しています。現在、タイ空軍が保有するF-16は１９９０年代に納入されたF-16A/B block15/20です。
アメリカは７月にタイのF-35調達入札に対して正式な回答を行う予定で、この時に正式に拒否の旨が通達される予定です。その場合、タイ空軍は下院が承認したF-35A購入の５％の前払い金である３億６９１０万バーツを国に返還しなければなりません。タイ空軍はF-16以外にスウェーデンのSAAB社製のJAS-39 グリペンC/D戦闘機一飛行隊１２機を運用していますが、内１機が墜落しており、その補充も検討しています。
タイは東南アジアにおけるアメリカの重要な戦略上のパートナーで、毎年、合同軍事演習を行っていますが、タイは中国との結びつきも強く、陸軍、海軍の兵器に関しては中国製兵器が多くなっています。陸軍の主力戦車には中国製のVT-4、海軍は中国の05式水陸両用戦闘車（ZTD-05）の輸出版であるVN16水陸両用戦闘車を採用。今年４月に海軍が受領した２万トン級のドック型揚陸艦「チャン（CHANG）」は中国海軍の071型揚陸艦の輸出モデルです。
Source
US Pentagon set to rebuff Thailand’s bid for F-35s (bangkokpost.com)
