アメリカ陸軍が支援するマサチューセッツ工科大学(MIT)の兵士ナノテクノロジー研究所(ISN)の米陸軍研究者は兵士の健康状態を監視するのに役立つ生体データをモニタリングできるプログラム可能なファイバー(繊維)を開発しました。このファイバーを兵士のユニフォームの生地に組み込むことで、将来、兵士のステータスをユニフォーム経由で確認することができるようになるかもしれません。
このファイバーは衣服の一部として着用しながら対象者の活動を感知、データ保存、分析処理することを目指しています。現在、このデジタルファイバーテクノロジーは概念実証段階で、現在、それを実証しています。ファイバーには数百の小さなシリコンマイクロチップが含まれており、メモリ機能、大量のデータ保存が可能で、767KBのビデオファイルと0.48MBのオーディオファイルをファイバーに保存しました。
収集した着用者のデータを分析できるアルゴリズムを組み込むため、ファイバーに1,650の接続からなるニューラルネットワークをセットアップし、テストを実施。ファイバーはこれを使って着用者の活動を測定、着用者の表面体温に関する270分間のデータを収集。人工知能はそのデータを分析し、兵士が行っている活動の種類を96%の精度で識別しました。ファイバー自体は細くてしなやかで、針を通り抜けて生地に縫い付けられ少なくとも10回洗っても機能を損ないません。
最終的にはファイバーがセンサーや通信システムと通信したりするための電力を生成および保存できることを望んでいます。
ウェラブルデバイスを使わずに兵士のステータス確認
ウェラブルデバイスの普及によって、身体の動きや心拍数の確認は容易になりました。しかし、電子機器の装備が増える中、少しでも兵士の装備を軽減したいと軍は考えています。また、装備品の場合、敵に捕まった場合、全て没収される可能性があります。しかし、衣服であれば取り上げられることはないでしょう。これにより、どのような状況になっても兵士の生死の有無、体調、静止状態かどうかをモニタリングでき、かつAIによって、人の分析を介せずに、即座に状態を確認できます。また、このファイバーは化学兵器を感知でき、警告を出すと同時に、それによって起きた症状を分析して使用された化学兵器を特定することもできます。
このファイバーはまだ初期段階で、2050年頃の実用化を目指しています。
Source
https://www.army.mil/article/247472/uniforms_with_programmable_fiber_could_transmit_data_and_more