ロシアが誇る極超音速ミサイル「Kh-47M2 Kinzhal（キンジャール）」の開発に従事していた科学者３人が大逆罪で逮捕されていたことをモスクワタイムズが報じました。
キンジャールの機密情報を公開したとして逮捕
逮捕された３人はノヴォシビルスク理論応用力学研究に務める技術者で極超音速ミサイルの開発に従事、ロシアが２０１８年に世界で初めて実用化した極超音速ミサイル「キンジャール」の開発を担っていました。３人の内の一人である主任研究員アナトリー・マスロフは昨年の８月に極超音速ミサイルに関する情報を学術会議で公表、中国に渡したとして、国家反逆罪の罪で逮捕。その８日後には理論応用力学研究所所長のアレクサンドル・シプリュクが同様の罪で逮捕されています。そして、主任研究員で技術科学博士のワレリー・ズビャギンツェフは今年４月７日から自宅軟禁されています。ただ、彼らが公開した情報は何度も当局のチェックを受け、公開しても問題の情報を確認していたとして、同僚は公開書簡で３人の無実を訴えており、３人の逮捕はロシアの科学に重大な損失を与えるとともに、ロシアの科学者が何の論文も記事も書けなくことになると警鐘を鳴らしています。
全弾パトリオットに迎撃されたキンジャール
I counted 30 Patriot PAC-3 MSE launches here.
— Fennec_Radar (@RadarFennec) May 16, 2023
The FY2024 costs of these per missile is about $$5,275,000
That was $158,250,000 fired in about two minutes. And as we see, the battery or something else likely got blown up. So it failed in its mission. pic.twitter.com/9rwPnHkNGu
キンジャールはマッハ１０以上の極超音速で飛行し、軌道変更可能なことから、従来の防空システムでは迎撃不可能と言われています。キンジャールはパトリオットミサイルといった西側の防空システムをすり抜けて攻撃することを目的に開発されており、パトリオットミサイルが守るキーウの防空網を突破して大打撃を与えるが筈が、今のところパトリオットミサイルによって全弾迎撃されています。
５月４日には最初の一発目、１７日夜から１８日未明にかけてはパトリオットミサイルの破壊を目的としたとされるキンジャール６発を含むミサイル３０発による飽和攻撃を行いますが、内２９発が撃墜、キンジャールは全弾撃墜されます。ロシア国防省はキンジャールの攻撃でパトリオットを破壊したと発表、１６日の攻撃でパトリオットミサイルが損傷したことは確認されていますが、損傷は軽微で稼働し続けているとされます。キンジャールによる攻撃は今のところ失敗、公表されているようなスペックがないというのが大方の見立てです。そのため、今回の科学者の拘束はその責任をとって逮捕されたとSNS上では飛交っていますが、だいぶ前から彼らは逮捕されていたようです。
Source
Разработчиков гиперзвуковых ракет Путина арестовали за госизмену – Русская служба The Moscow Times
