航空および航空宇宙産業のニュースを提供するFlightGlobalが先日、「World Air Forces 2022」というレポートを発表しました。そこでは現在、世界中の軍隊で運用されている軍用ヘリコプターの数が報告されており、そのデーターをもとに現在(2021年)、世界で運用機体数が最も多い軍用ヘリコプターTop10を紹介します。
10位 SA341/342
ガゼル(Gazelle)という名でも知られる小型汎用ヘリコプター。フランスのシュド・アビアシオンが開発し、1973年から運用されています。その後はアエロスパシアル、イギリスのウエストランド・エアクラフトが製造、エジプトとユーゴスラビアでライセンス生産が行われました。主な運用国はフランス、イギリス、中東諸国になります。20mm機関砲や対戦車ミサイルを搭載し、攻撃ヘリとして運用されていましたが、旧式化したこともあり、現在は前線から退きつつあります。2021年現在で世界で416機が運用されています。
9位 H145/UH-72
エアバス・ヘリコプターズ(旧:ユーロコプター)が開発製造する中型の多用途ヘリコプター。ベースとなっているのはEC 145、BK117と呼ばれる民間用ヘリになり、その軍用版がH145、アメリカ軍では”UH-72 ラコタ”という名で運用されています。民間では輸送や救命救急、救難活動で使用されていたこともあり、軍でも兵員や物資の輸送、救急搬送といった後方支援をメインに運用されています。モジュール式の武装も装着可能で攻撃用途にも使用できます。10各国以上で運用されていますが、最も多いのがアメリカ陸軍になります。現在、世界で438機が運用されています。
1/72 エレールシリーズ ユーロコプター UH-72A ラコタ #803792
8位 AH-1
ベル・ヘリコプター・テキストロンが開発した世界初の攻撃ヘリコプター。ベトナム戦争で初めて戦場にヘリコプターが本格投入されるもヘリボーン(兵員輸送)がメインで攻撃に特化する機体が無かったため、開発されたのがAH-1になり、1967年に”AH-1コブラ”として米陸軍に導入されます。導入から半世紀が経つこともあり、米陸軍では既に退役、他の導入国でも退役が進んでいますが、米海兵隊では改良型のAH-1Zヴァイパーが今でも運用されており、陸上自衛隊では100機近いAH-1Sが運用されるなど、世界で492機が運用されています。
ハセガワ 1/72 陸上自衛隊 AH-1S コブラ プラモデル E4
7位 MD500/530
アメリカのMDヘリコプターズが製造する軽量多目的ヘリコプター。観測ヘリOH-6をベースに改良を行い1976年に登場した軍用モデルになり”MD500ディフェンダー”と呼ばれ、今でも生産が続いています。小回りの利く機体を活かした偵察、武装護衛、および近接空中攻撃能力など多様な任務をこなします。TOW対戦車ミサイルを搭載でき対戦車能力を有しながらも機体が安いこともあり、途上国で多く運用されており、近年ではアフガニスタン軍に採用され、タリバンに陥ちなければ多くの機体が投入される予定でした。世界では565機が運用されています。
6位 Mi-24/35
ロシアのミル設計局によってソ連時代に開発された攻撃ヘリコプター。AH-1に対抗すべくMi-8をもとに開発され、1970年から運用が始まりました。攻撃機としては大型になり、豊富な武装と強固な装甲、さらに最大8名の兵士を輸送できる能力を持ちあわせた強襲ヘリとして、NATOではコードネーム”ハインド”と呼ばれ恐れられました。ロシア軍や旧ソ連の国でも未だ現役ですが、ソ連時代は旧共産圏に積極的に輸出されたこともあり、東欧や中東、南米、アフリカなど多くの国で運用されています。頑丈で整備が簡単なことも長年運用され続ける理由にもなります。世界で924機が運用されています。
タミヤ 1/72 ウォーバードコレクション No.05 ソビエト軍 ミル Mi-24 ハインド プラモデル 60705
5位 CH-47
アメリカのボーイング社によって開発製造されているタンデムローター型の大型輸送ヘリコプター。”チヌーク”という愛称で1962年に米軍に採用され、以降、半世紀が過ぎた今でも改良やバージョンアップを重ね生産・運用されていおり、2021年には最新のCH-47Fが登場しています。CH-47の特徴はそのペイロード能力になり、兵士なら33名、最大55名の人員を乗せることができ、その輸送能力から災害時にも活躍します。小型の車両なら機内に格納でき、装甲車や155mm榴弾砲といった最大10トンまでの装備をロープで吊り下げて輸送することも可能です。米軍では500機以上を運用、自衛隊でも68機ほど運用されており、世界で929機が運用されいます。
WALTERSONS メタルプラウドシリーズ 1/72 陸上自衛隊 CH-47JA 第1ヘリコプター団 第103飛行隊 完成品
4位 UH-1
アメリカのベル・エアクラフト社によって開発された多用途ヘリコプター。”イロコイ”、”ヒューイ”という愛称でも呼ばれています。1959年に米陸軍に採用され、ベトナム戦争の主力ヘリコプターとしてヘリボーンや攻撃機として活躍。世界初の量産型ヘリになり、世界で16000機以上が生産され、半世紀以上が経つ今でも世界で数多く運用されており、陸自の主力ヘリの一つであり、120機が運用されています。しかし、旧式化、後継機のUH-60などが誕生したこともあり、米軍では退役、近年でもタイ、韓国、フィリピンなど各国で退役が進んでおり、急速に数を減らしています。世界で989機が運用されています。
ドイツレベル 1/72 UH-1D SAR 04444 プラモデル
3位 AH-64
AH-1の後継としてマクドネル・ダグラス社によって開発された攻撃ヘリコプター。”アパッチ”という名で親しまれ、1984年から運用されており、何度か改良を重ね、最新のモデルはAH-64Eになります。30mm機関砲、ヘルファイ対戦車ミサイルといった武装に12.7mm弾を防ぐ、強固な装甲、最新のレーダー、アビオニクスを搭載、AH-64Eではドローンとの連携が可能になっており、攻撃ヘリとしては世界最強といわれています。現在、最も運用しているのが米陸軍になり、700機以上を運用しています。世界で最も運用されているのは自衛隊も配備する”アパッチ・ロングボウ”と呼ばれるAH-64Dですが、米軍はそのほとんどを既にAH-64Eに更新しており、イギリスや韓国も追随しています。世界で1219機が運用されています。
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ハセガワ 1/48 陸上自衛隊 日本艦上自衛隊 攻撃ヘリコプター AH-64D アパッチロングボウ プラモデル PT42
2位 Mi-8/17
ロシアのミル設計局によってソ連時代に開発された輸送・多用途ヘリコプター。国内版のMi-8は1967年から運用され、輸出版のMi-17は1977年から生産が始まります。ロシア製では最も成功したヘリで現在も生産は続いており、これまで延べ17,000機以上が生産されています。ロシア製らしい、タフで整備しやすいこともあり、ロシアをはじめ、旧ソ連・東側諸国をはじめ、中東、東アジア、アフリカ、中南米の国々では未だ第一線で長年活躍しています。輸送や偵察、観測といった後方支援がメインですが、Mi-24のベースとなったこともあり、武装換装も可能です。世界で2819機が運用されています。
ズベズダ 1/72 ロシア MIL Mi-8 レスキューヘリ プラモデル ZV7254
1位 UH-60/S-70
アメリカのシコルスキー社によって開発された中型多目的ヘリコプター。映画の影響もあり”ブラックホーク”というなで世界中で知られています。輸出型がS-70になります。UH-1の後継機としてベトナム戦争で得た戦場でのヘリコプターの実戦経験をもとに攻撃、輸送双方の能力を持ち合わせた機体として開発され、機関銃、ロケット弾でヘルファイアミサイルで武装でき、最大11名の兵士を輸送、航続距離、装甲も強化。1979年より米陸軍で運用が始まります。その後も改良が重ねられ、アビオニクスを搭載するなどミッション能力が向上。また、ミッション要件に合わせて電子戦や救難、負傷兵搬送など多様なモデルがあり、そのユーティリティーさも特徴です。これまで4000機以上が生産され、その多くが現役であり、バージョンアップを重ねるなどして、世界での運用数は最も多い、3926機になります。
タミヤ イタレリ 1/48 飛行機シリーズ 2706 シコルスキー UH-60A ナイトライド 38706 プラモデル