トランプ陣営は9月初めから大統領選での再選を訴える「support our troops(私たちの軍を支援せよ)」というオンラインバナー広告を展開したのだが、これが物議をかもしている。
ロシア軍の写真だった
「support our troops」と銘打たれたドナルド・トランプ大統領の大統領のキャンペーン広告は9月8日に公開され、9月13日に配信終了した。広告には戦闘機と兵士のシルエットが掲載されていた。これらはフォトストックの「ShutterStock」から取得された。両端は見切れているが写真には5人の兵士のシルエットが映っており、これは公平を期すために、陸軍、海軍、空軍、海兵隊、沿岸警備隊の5軍を示しているように思われた。そして、その上を3機の戦闘機が飛行する。だが、この戦闘機が問題だった。
素人目では分からないが、この戦闘機、米軍の機体ではない。よりにもよって仮想敵国であるロシアのMig29のシルエットだったのだ。Mig29は冷戦中に米軍のF-14に対抗するためにソ連が開発した双発戦闘機だ。ロシアの戦闘機を載せて「軍を支援せよ」とは皮肉なものだ。
そもそも、この写真はロシア人の写真家によって撮影されたもので、下に映る兵士もロシア軍だ。この右の兵士が持っている銃の銃口のシルエットもよく見るとAK-74らしい。
軍事関係に詳しい者が広告出稿前にチェックしていれば、この写真がロシア軍のものだというのは直ぐに分かったはずだと言われている。だが、幸いにもこのバナー広告の予算は僅か100ドルで9月8日~13日間の間で1万インプレッション以下しかされず、気づく者は少なく、配信中に話題にのぼることは無かった。
トランプ陣営は2016年の最初の大統領選でもナチスの兵士に扮した男性の画像の上にアメリカの国旗の画像をツイートするという失態を犯している。ツイートは削除され、若いインターンのせいにされた。