現在、米海兵隊で運用されている短距離/垂直離着陸機(S/VTOL)のAV-8BハリアーはF-35の短距離離陸・垂直着陸機(STOVL)モデルであるF-35Bの配備に伴い、2029年を目途に退役が予定されています。
米海兵隊はAV-8Bハリアー攻撃機に代わる機体として第5世代戦闘機F-35Bを採用し、2015年7月から配備を開始しています。2021年9月時点で80機が配備されており、最終的には353機のF-35Bが米海兵隊の飛行隊に配備される予定です。それに伴い AV-8Bハリアーは順次退役していきます。
AV-8Bハリアーとは
ハリアーⅡことAV-8Bハリアーはイギリスのホーカー・シドレー社が開発したハリアーを安全性、射程、攻撃能力を向上させることを目的に米国のマクドネル・ダグラス社が改良開発した機体です。 AV-8Bハリア ーの最大の特徴は S/VTOL であり、十分な滑走路が無くとも離着陸できる点です。米海兵隊は米軍の中でも先陣を切って、敵領内に進攻を行い、拠点を確保をする部隊です。そのため、開戦当初は満足な拠点、整備された滑走路を手に入れることができないことが予測され、厳しい環境でも離発着可能な機体としてAV-8Bハリアーを採用、1985年から配備しています。 2001年のアフガニスタンでの「普及の自由作戦」、2003年の「イラクの自由作戦」では海兵隊のAV-8Bハリアーが最初の戦闘出撃に参加しています。
タミヤ 1/72 ウォーバードコレクション No.21 アメリカ海兵隊 マクダネル ダグラス AV-8B ハリアーII プラモデル 60721
最大速度1,085km/h、航続距離2,250km。、25mm GAU-12機関砲に6つの翼ハードポイントがあり、空対空ミサイル、空対地ミサイル、対艦ミサイル、無誘導爆弾、誘導爆弾など、合計4,200kgの兵器を搭載できます。
最後の改修
AV-8Bハリアーは2019年から最後の近代化改修、オーバーホールが行われています。近代化の主な内容はアビオニクスとソフトウェアのアップグレード(LINK-16、RNP/RNAV、モード5/S、ADS-Bアウト、ヘルメット装着式ケーシングシステム、サバイバビリティ機器のアップグレード)です。その中にはAIM-9 XサイドワインダブロックII短距離空対空ミサイルとAIM-120 C先進中距離空対空ミサイルの搭載、およびLITENING先進戦術データリンク (ATDL) の統合が含まれています。これにより、機体の耐久年数は2029年まで延長されます。
現在、米海兵隊は訓練機のTAV-8B 16機、夜間攻撃機34機、レーダー機74機の計124機のAV-8Bハリアーを運用しています。最大時は9つあった飛行部隊も現在、5つまで縮小されており、その内、西海岸の部隊が2023年にF-35Bに移行する予定です。2028年頃までAV-8Bハリアーは攻撃部隊としの運用を予定しており、少なくとも2029年までは運用される計画です。ただ、これもF-35Bの生産と配備状況によるとされ、それが遅れれば運用は延長されるかもしれません。
Source
https://www.military.com/daily-news/2020/10/19/marine-corps-marks-end-of-harrier-operations-historic-tomcats-squadron.html
https://www.naval-technology.com/news/frce-completes-av-8b-harrier-aircraft-refurbishment/
https://www.navyrecognition.com/index.php/focus-analysis/naval-technology/9961-av-8b-harrier-ii-attack-aircraft-will-stay-operational-with-us-marine-corps-until-2029.html