先週26日、米海兵隊13人を含む多数の死傷者を出したカブール国際空港の自爆テロ。米軍は早速、27日に首謀者とされるイスラム国ホラサン(ISIS-K)に対し、報復として空爆を行った。この空爆で使用されたのは標的切り刻む、通称”忍者ミサイル”と言われる「AGM-114R9X」だったことが分かった。
MQ-9 リーパーを使用
米軍は27日、ISIS-Kの拠点があるとされるアフガニスタン東部のナンガルハル州にて、自爆テロの計画者とされる人物に対し、ペルシャ湾の米軍基地から飛び立った無人機攻撃機MQ-9 リーパーを使って空爆を行った。米軍の発表によれば車に乗っていた標的と隣に座っていた計2人と一人を負傷させた。どれもISIS-Kに関連する人物とされ、米軍中部司令部は「民間人の死傷者はないものと把握している」と述べ、民間人の被害はなかったことを主張している。空爆の効果を限定的にできたのはある兵器のおかげだ。
ウォルストリートの報道によるとこの空爆には”忍者ミサイル”と言われる「AGM-114R9X」が使われていた。このミサイルは空対地ミサイルのヘルファイアをベースに改良されたミサイルで2011年にオバマ大統領の指示で開発が始まった。このミサイルの特徴は弾頭に爆薬を積んでいないこと、その代わりに6枚のブレードが搭載され、標的に衝突すると、その運動エネルギーを利用して、標的を切り刻むといったものだ。爆発しないため、周囲への二次被害を限定でき、周囲に民間人、民間施設がある時に使用される。ブレードの刃を手裏剣になぞらえ、爆発音がせずに静かに標的を殺め、主に要人暗殺に用いることから”忍者ミサイル”と呼ばれている。
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— Samir (@obretix) June 14, 2020
R9Xは2017年に配備が始まり、公になったの2019年とまだ新しい兵器になる。前述のような特徴から使用頻度はそう多くなく、2017年からの3年間で使用されたのは計10件ほどとされている。2020年6月にはシリアにてR9Xの攻撃を受けた車の様子がSNSに投稿され、それまでR9Xの効果に懐疑的だった意見も、十分に納得されるような衝撃的な写真だった。