イスラエルのアイアンドームが国産のスパイクミサイルをコピーしたイラン製兵器によって破壊される

レバノンの武装組織ヒズボラがイスラエルの防空ミサイルシステム「アイアンドーム」をミサイルで破壊したと発表しました。攻撃に使用されたミサイルはイスラエル製の対戦車ミサイル「スパイク」をコピーしたものとされています。

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6月6日、ヒズボラはイスラエルのアイアンドームをミサイルで攻撃する映像を公開しました。映像は誘導ミサイルに搭載されたカメラで撮影されたもので、アイアンドームのミサイルランチャーにミサイルが向かっていき、命中するまでの様子が納められていました。ミサイル搭載カメラなので命中後のアイアンドームの様子は納められていませんが、別途、破損したランチャーの写真が公開されています。アイアンドームは世界で最も優れた短距離防空ミサイルとして評価されている防空システムです。ヒズボラはこの攻撃の二か月ほど前にもアイアンドームのレーダーをミサイルで破壊したことも発表しています。

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アイアンドームを攻撃した「Almas-3」はスパイクのコピー品

ヒズボラがアイアンドームの攻撃に使用したのはイラン製の「Almas-3」対戦車ミサイルと言われています。このミサイルは皮肉にもイスラエルのラファエル社が開発生産する「スパイク」対戦車ミサイルのコピー品です。2006年のイスラエルによるレバノン侵攻の際にヒズボラがイスラエルから鹵獲。それをイランに送り、イランがリバースエンジニアリングして開発。2020年に初めて公開されました。

スパイク自体は第3、4世代の対戦車ミサイルで1990年代からイスラエル軍に配備。これまで何度か改良が重ねられ、アメリカのジャベリンに並ぶ世界で最も優れた対戦車ミサイルの一つです。弾頭は二つの弾頭を備えたタンデム弾頭で、先頭の弾頭が戦車の爆発反応装甲やモジュール装甲を破壊し、二番目の弾頭が本装甲を破壊します。誘導方式は赤外線画像シーカーを用いた赤外線ホーミングでロックオン後はいわゆる撃ちっぱなし「ファイア&フォーゲット」機能を有していますが、弾頭にはカメラが付いており、発射後にミサイルのカメラから送られてくる映像をもとに、対象を画像でロックオンできます。つまり、完全に敵から見えない場所から盲目的に弾頭を発射することができ、敵がいると思われる方向に向けて発射してから敵を見つけてロックオンできます。アルマスはそれらの能力を再現しており、装甲の最も薄いところ狙うトップアタックも可能です。イランはアルマス用のサーモバリック弾も開発しています。

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スパイクはタイプによって射程は異なりますが、アルマスの射程は8kmとされています。これはスパイクの長射程型スパイクERと同じ射程です。ヒズボラの攻撃はレバノンからの越境攻撃がメインになるので、ある程度の射程が必要です。ただ、8kmなので攻撃対象は国境周辺に限られます。スパイクは歩兵が運用できますが、ジャベリンのような携行式の肩発射型ではなく主に三脚で固定して発射します。

イスラエルは今のところ、アイアンドームが破壊されたことを公式に認めていません。今回破壊されたアイアンドームのランチャーですが、運用中であればミサイルが搭載されている筈ですが、ミサイル誘爆した形跡がないことからミサイルが搭載されていない、空のランチャーでそもそも運用中ではなかった、若しくはデコイなのでは無いかとも言われています。ただ、自国のスパイクをベースにしたアルマスはイスラエル軍にとっては非常に厄介であり、今年に入り、北部ではアルマスによる損害が増えています。

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イスラエルのアイアンドームが国産のスパイクミサイルのコピー品によって破壊される
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