ウクライナはザポリージャ州航空修理工場「ミグレモント」に保管されていたロシアの7機のMig-25戦闘機を押収したことを発表した。
ウクライナ経済省の6日の発表によれば、侵略国とその住民の財産の強制押収に関するウクライナ国家安全局の決定の実施に関するウクライナ大統領令の枠組みの元、ザポリージャ州航空修理工場「ミグレモント」にあるロシア財産を没収した。車両800両、航空機エンジン、建設車両、タンクローリーなどが押収されたが、その中には7機のMig-25迎撃戦闘機も含まれる。
ザポリージャ州航空修理工場「ミグレモント」
同工場はザポリージャにあるソ連およびウクライナの国営航空機修理工場。1940年に設立され、1978年以降は主にMig-25戦闘機の修理、改修業務をメインに行ってきた。1991年にウクライナが独立すると、同工場はウクライナ国防省の管轄下に。1993年からはウクライナ空軍が運用するSu-27戦闘機の修理、改修を請け負い、2000年代以降はSu-25攻撃の修理、改修も行っており、ウクライナ空軍の攻撃/戦闘機のメンテを担っている。
Mig-25
国土防衛のために1960年代にソ連のミグ設計局によって開発された第三世代戦闘機。1970年から迎撃戦闘機としてソ連国土防空軍で運用が始まった。1976年(昭和51年)にソ連軍パイロットのベレンコ中尉が同機に乗って函館空港に強行着陸、亡命した「ベレンコ中尉亡命事件」の機体としても有名。マッハ3を超える最高時速を誇り、開発から約60年経つが未だ最速の戦闘機として記録されている。登場したのはベトナム戦争の時で、それまで当時、最強といわれた米軍の戦闘機F-4ファントムⅡと激戦を繰り広げた。1991年の湾岸戦争では米軍のF/A-18ホーネットを撃墜している。ほとんどが退役しているが、シリア軍ではまだ現役。
ウクライナはソ連崩壊後、79機のMig-25を引き継いだが、1995年に全機退役しており、今回、押収された機体も少なくとも2000年代以降は飛行していない可能性が高い。所有権はロシアにあった機体だが、ロシアも要らなく、放置してあったのだろう。もちろん戦力として計算できる機体ではなく、ウクライナはこのMig-25を部品どりとして使用する予定で、他の機体の修理のために解体される。
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