
アメリカ空軍がインド洋の孤島であるディアゴガルシア島に少なくとも7機のB-2スピリット・ステルス戦略爆撃機を派遣したと報じられている。これだけの数のB-2をインド洋に派遣する事は異例であり、中東での大規模軍事作戦へ向けた準備と推察されている。
7機のB-2スピリットステルス戦略爆撃機がインド洋の孤島であるディエゴガルシア島に配備または向かっていると報じられている。少なくとも3機が同島に到着している事が衛星画像でも確認されている。その他、衛星画像の情報によれば少なくとも3機のC-17輸送機と10機の空中給油機が、ディエゴガルシア島に配備された事が分かっている。米軍は今月15日にイエメンの反政府武装組織フーシ派に対し、大規模攻撃を実施しており、更なる軍事作戦に向けた準備とされる。ただ、フーシ派に対し、7機のB-2は過剰戦力であり、イランに対する軍事作戦、警告ではという声もある。
インド洋の不沈空母ディエゴガルシア島

ディエゴガルシア島はインドの南、インド洋に浮かぶインド洋地域チャゴス諸島にある環礁。リゾート地として有名なモルディブの更に南に位置している。一番近い陸地までは1600kmも離れており、世界で最も隔絶された島々のリストにのる孤島だ。ここはもともとイギリス領で、1960年代から1970年代にかけて米英の軍事協定に基づき、米英軍の共同軍事基地となっており、インド洋の不沈空母として航空機の拠点、中継地点となっている。2024年10月にイギリスはモーリシャスに同島を返還すると発表したが、99年間のリース契約を締結。現在も軍事基地として利用されており、民間人はいない。
ディエゴガルシア島はグアム島のアンダーセン空軍基地と並び、インド・太平洋地域における重要な戦略爆撃機拠点であり、湾岸戦争、イラク戦争、アフガニスタン戦争中はB-52とB-1の両戦略爆撃機の出撃拠点となっていた。
フーシ派への大規模軍事作戦の準備か
Give ‘em Hell Harry!!!#HouthisAreTerrorists pic.twitter.com/BdYihp7PyK
— U.S. Central Command (@CENTCOM) March 25, 2025
ディエゴガルシア島にステルス戦略爆撃機のB-2スピリットが配備されたのはイエメンのフーシ派拠点に対する大規模軍事作戦に向けたものとされている。今月15日にはトランプ大統領がフーシ派に対し、「全てのフーシ派テロリストに告げる。ここまでだ。攻撃を止めなければ、今まで見たこともない地獄の雨が降り注ぐだろう!米国船舶への攻撃は許さない。目的を達成するまで、圧倒的な殺傷力を行使する」と投稿、トランプ大統領の命令のもと、原子力空母ハリー・トルーマンからなる空母打撃群がフーシ派に向けて大規模空爆を実施した。フーシ派はこの攻撃で31人が死亡したと発表している。また、フーシ派を支援しているイランに対しては、支援を直ちに停止し、イランがアメリカを脅すようなことがあれば「全責任を負わせる」、「深刻な結果になる」と警告した。これに対しフーシ派は報復を示唆、空母を攻撃すると明言している。つまり、攻撃を止めるつもりはないということだ。トランプ氏は「目的を達成するまで、圧倒的な殺傷力を行使する」と言っているように、引き続き攻撃を行う構えであり、B-2戦略爆撃機のディエゴガルシア島への派遣はその一環だ。
戦略の3分の1のB-2を派遣

今回、ディエゴガルシア島には最大7機のB-2スピリッツ戦略爆撃機が配備されると報道されている。B-2は20機しかないので、戦力の3分の1を同島に集結させる事になり、これは前例のない規模だ。フーシ派に対しては2024年10月にもB-2を使った攻撃を行っているが、この時は少なくとも2機が派遣されているので、今回の7機は正直、戦力過剰だ。米海軍の空母打撃群はこれまで幾度となく、イエメンに対し艦載機のF/A‐18スーパーホーネット、F-35Cの両戦闘機による空爆を実施し、攻撃を成功させている。F/A‐18は非ステルス機だが、撃墜はされていない。1機あたりの爆弾の搭載量は少ないものの空母戦力だけで十分事足りると思われる。
B-2は米軍が保有する機体ではもっとも運用コストが高い機体であり、1時間あたりの運用コストは7万ドルを超える。7機だと1時間で実に49万ドルだ。フーシ派相手ならB-2よりもコストが低い、B-52、B-1と他の爆撃機でも問題ないと思われる。だが、今回、米軍はB-2を選択した。そのため、一部のアナリストたちはフーシ派だけではなく、それを支援するイランに対しても攻撃拡大するのではという憶測が高まっている。イランの軍事力はフーシ派と比べ物にならない上、対イスラエルを想定し、防空網は強化されている。実際、トランプ大統領は第一次政権の時からイランに対して強硬姿勢を取っている。2020年1月にはイランの国民的英雄とされ、イスラム革命防衛隊(IRGC)の精鋭部隊「コッズ部隊」の司令官のソレイマニ将軍を殺害しており、トランプ氏であれば、今回も強硬姿勢を取る可能性は高い。そうなれば中東情勢、世界情勢は更に混迷を極める事になるだろう。