軍用のデジタルデバイスなどを開発製造するアメリカのL3Harrisは今月、夜戦を変える画期的なナイトビジョン「ENVG-B」の1万台目をアメリカ陸軍に納入し、更なる追加注文を受けたことを発表した。
Have you been seeing news reports about our next-gen night-vision? Check out the 2nd Stryker Brigade Combat Team, 2nd Infantry Division doing a live fire with the Enhanced Night Vision Goggle-Binocular (ENVG-B). The future is ours.#modernization #fortsill @LancerBrigade @USArmy pic.twitter.com/3Wfwr0D8RN
— US Army Fort Sill (@OfficialFtSill) May 25, 2021
L3Harrisは最近、陸軍の治安部隊支援旅団に約600 台のENVG-Bを納入したことで、陸軍からの最初の注文10,000ユニットの納入が完了し、同社の4年間にわたるENVG-B プログラムの主要なマイルストーン達成を示した。治安部隊支援旅団は、ENVG-Bを配備する9番目の米陸軍旅団となった。
米陸軍は2018年、兵士の状況認識と機動性、および保護を改善するのに役立つ次世代の暗視ゴーグル機能を開発するプロジェクトにL3Harrisを選択。L3HarrisとElbitSystemsofAmericaが開発したENHANCED NIGHT VISION GOGGLE – BINOCULAR (ENVG-B)を採用した。2019年に最初のフィールドテスト、2020年には低レートの量産が始まり、2021年に運用テスト、そして、2022年4月頃に最初の部隊に配備が始まった。採択から4年、配備から1年も経たない内に1万台が納入されとことになる。
夜戦を変える画期的なナイトビジョンENVG-Bとは
戦闘でその価値を証明されたENVG-Bは、高度な複合技術と拡張現実 (AR) 機能を使用し、現在使用されている他のどの暗視ゴーグルよりも高い精度と速度で目標を識別し、夜間作戦における状況認識、交戦する能力を兵士に提供する。
ENVG-Bは微量な光を増幅させる光増幅装置式のナイトビジョン機能と、熱と物体が出す光で映像化する赤外線サーマルカメラの二つで構成されており、すべての照明条件、気象条件下で視界および監視する能力を兵士に提供する。暗闇であれば光増幅モード。煙、霧、砂嵐のような視界困難な状況ではサーマルカメラ、または両方のモードを同時に使用することができる。これまでのナイトビジョンは主に夜間や暗闇での利用に限られていたが、サーマルカメラがあることで日中の視界不良時にも使用でき、あらゆる状況で良好な視界を確保することができる。また、光増幅のみだと静止した人間を見極めることは難しかったが、サーマルカメラと合わせて使うことで温度差で人間と植物、障害物を見極めることができる。
高解像度の立体視ディスプレイは、背景からのターゲットの分離を改善することにより、より高速なターゲット捕捉を可能にする。また、ENVGを通して見える映像は従来の緑色の代わりに、より高解像度の白色を使い、これにより、より良いコントラストを提供する。その他「アウトラインモード」を使うと人や対象の輪郭をはっきりと映し出すことができる。
150~300mの距離で人間の80%を認識。300~550mの距離で50%を認識。搭載バッテリーで最大15時間の連続使用が可能。重量は1.1kg。
また、FAMILY OF WEAPON SIGHTS(FWS)と呼ばれる銃器に取り付ける光学サイトと視界を共有することができ、サイトを覗かなくとも照準を合わせることができる。
ENVG-Bは最強のナイトビジョンとされており、夜戦におけるゲームチェンジャーと言われている。米陸軍はそれを複数の旅団規模で運用できる数を既に確保したことになる。
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