8月15日時点でアフガニスタンの34ある州のうち23の州がタリバンの手に落ち、首都カブールまで11kmまで迫ってきており、アフガニスタン政府は陥落寸前です。このような状況を受けて、米英独の3カ国は再度、派兵を決定しました。派兵される兵士の役目はあくまで自国民・同盟国の人員と協力したアフガニスタン市民の退避の支援であって、戦闘ではありません。
アメリカ軍は今月末までにアフガニスタンから完全撤退する方向ですが、国内の米大使館、カブール国際空港といった重要施設の警備のために650人を残す予定でした。しかし、タリバンの脅威が迫り、数日で陥落しかねない状況を受けて、カブールからの大使館職員、自国民の退避、同盟国の撤退を支援するために5000人規模の部隊の派兵を決定しました。具体的な部隊は明らかにされていませんが、駐留する残存部隊1000人に、陸軍1部隊と海兵隊2部隊から成る歩兵3000人、そこに土曜に追加が決定されたばかりの1000人が加わり、旅団規模の戦力になります。
イギリスは先週はじめまで500人いたスタッフも既に数十人を残すだけとなっており、順調に撤退を進めていましたが、タリバンの侵攻が思いのほか早く、空港が使用できなくなる可能性が高まったため、予定を早め、自国民とNATOを含む西側の職員、地元の協力者の安全な退避のために600人規模の部隊の再派兵を決定。土曜に陸軍の第16空中強襲旅団の空挺部隊がカブールに向けて出発、日曜の夜にはアフガニスタン駐大使が脱出する予定になっています。
ドイツも自国民と地元の協力者の退避のために派兵の準備を進めていることを土曜に発表しました。月曜にはカブールに向けて軍用機が出発する予定です。部隊の規模や内訳は明らかにされていませんが、特殊作戦師団の部隊から編制させるだろうと予測されています。
欧米各国の職員が国外に退避するため、空港に集まる中、退避しない国があります。それがロシアです。ソ連時代にアフガニスタン侵攻を行ったロシアですが、今はタリバンとの関係は良好のようで、タリバンがカブールのロシア大使館の安全を保証すると約束したとロシアメディア報じており、タリバンの政治事務所のスポークスマンであるスハイル・シャヒーンは「ロシアとの良好な関係」を持っていると述べています。ロシア政府もカブールのロシア大使館職員を退避させる計画はないと発表しています。
https://www.reuters.com/world/asia-pacific/british-ambassador-be-flown-out-afghanistan-sunday-newspaper-2021-08-14/
https://www.startribune.com/the-latest-germany-italy-lift-personnel-out-of-afghanistan/600088028/