嗅覚、聴覚に優れた犬は昔から基地を警備する警備犬として訓練、配備されてきた。日本でも海上自衛隊や警視庁に配備されている。でも、この警備犬、将来的にはロボット犬に置き換わるかもしれない。
先頭に立って安全を確認
9月3日の米空軍のニュースリリースによると、米空軍は最近の演習において、作戦行動中の部隊の状況認識を強化するために「ロボット犬」を配備し始めた。
Ghost Robotics社が米空軍研究所との契約の一環として開発したロボット犬”VISION60”が戦闘に備えた機動的な訓練の一環として8月にネバダ州ネリス空軍基地に配備された。
演習ではロボット犬は第321緊急対応飛行隊、第621緊急応答飛行隊と共にC-130輸送機に乗ると、ロボット犬は着陸した機体から人間より先に機外に送られ、周辺に脅威がないかを確認。部隊はロボット犬を通じて滑走路周辺に危険性が無いことを確認すると人間の兵士も機体を降り、ロボット犬と共に滑走路の確保を行った。補給、給油中も脅威が迫らないか、ロボット犬と兵士は共に滑走路周辺の監視、警備を行った。
ロボット犬 VISION60
ロボット犬の開発、配備は米空軍が進める「高度戦闘管理システム( Advanced Battle Management System:ABMS)」の一環。将来、目まぐるしく変わる戦場の変化に人間から送られてくる情報だけでは即応できない、即応するにはナノ秒単位のデータの統合が必要とされる。ロボット犬を通して周囲の状況を瞬時に部隊全体に共有して、脅威に対応することを目的としている。
Ghost Roboticsが開発したロボット犬「VISION60」は情報収集、監視、偵察ミッション(ISR)、マッピング、分散通信を行う持続可能なセキュリティのために設計された4足歩行型無人車両(Q-UGV)プラットフォームの軍用グレード版。4足歩行はスピードは無いが、あらゆる地形や環境で動作する能力を擁し、脚式ロボットは車輪のUGVに比べても、機械的複雑さが軽減され、耐久性、俊敏性、耐久性が向上していると開発元は述べている。
詳細なスペックは公開されていないが、遠隔操作、および自律行動が可能で、搭載されたカメラとセンサーで人間の視界をカバーする。得られた情報はネットワークを通じリアルタイムで部隊、本部に共有される。将来的には目標の識別や攻撃の判断を行う”キルチェーン”としての重要な役目を担うものとされている。
聴覚、嗅覚は実際の犬には敵わないため、警備犬の任務が全てロボット犬に置き換わることは無いと思うが、近い将来、ロボット犬が警備犬として主要な役割を担うのは間違いないだろう。