ロシアの特殊部隊というとスぺツナズと呼ばれ、ロシア連邦保安庁(FSB)のアルファ部隊などが有名だが、あまり知られていないロシアで最も秘匿性が高い特殊部隊がある。ロシア語で”防壁”を意味するザスローン( 露:Заслон、英:Zaslon)と呼ばれる特殊部隊だ。
ロシア対外情報庁の特殊部隊
防壁というワードを聞くと攻殻機動隊の公安9課を思い起させるが、まさしくザスローンは公安9課のような特殊部隊だ。所属するのはロシア対外情報庁(SVR)になる。SVRはCIAのようなスパイ組織でソ連崩壊で解体した、あのKGBの後継組織の一つになる。部隊が創設されたのは1997年になり、その人員は約300~500名とされている。活動は海外になり、そのように訓練されている。防壁といわれるだけあり、その主な任務は人質救出や秘密保護、海外での要人警護になる。警護は特にホットスポットと呼ばれる政治情勢が不安定な地域に多数派遣される。対象は政府要人が海外訪問した際や在外ロシア大使館の要人が含まれる。緊急時には避難作戦、国外脱出の責任を負うとされており、その際は民間ロシア人も含まれる。情報が流出する危険性があればあらゆる手を使って情報を回収するか削除する。その他にも諜報活動、暗殺、拉致、破壊工作があるとされる。
部隊の情報は機密扱い
秘密の多い特殊部隊というと米軍のデルタフォースも有名だが、ザスローンはそれ以上かもしれない。まず、SVRにはザスローン部隊の存在を示すような情報はどこにもない。部隊創設は大統領令だったが、当初は非公式だった。他のスペツナズは国内メディアも取り上げられるが、ザスローンについては国内でも取り上げられることはない。もちろん、隊員の写真などは一切ない。まれに政治家や職員がザスローンらしきスタッフと撮った写真をSNSで上げる事があるらしいが、即刻削除される。とはいえ、今のSNS社会であっという間に拡散されてしまうのだが…また、通常は大使館職員や警護スタッフとして扱われており、ザスローンの隊員と気づくことは有事の時でなければ難しい。
現在、ザスローン部隊はシリア、レバノン、イラクといった政情不安な中東に在留するロシア高官の保護のために多数展開しているとされている。
vladtime.ruロシア連邦保安庁(Federal Security Service of the Russian Federation:FSB)はロシア国内における犯罪対策や対テロ活動、諜報活動なを行う治安機関、アメリカでい[…]