戦争・アクション系の映画に特化して紹介するミリレポ映画レビュー。今回、紹介する映画は2010年に公開された 『ハート・ロッカー』。アメリカ陸軍爆弾処理班(EOD)にスポットを当てた異色の戦争映画になる。この作品は第82回アカデミー賞では作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、編集賞、音響効果賞、録音賞の6部門を受賞している。主演は『アベンジャーズ』のホークアイ役のジェレミー・ミナー。同じくファルコン役のサム・ウィルソンが出演している。監督は『ゼロ・ダークサーティ』のキャスリン・ビグローになる。
あらすじ・ストーリー
イラク戦争中の2004年。郊外で見つかった仕掛け爆弾の処理にサンボーン軍曹(サム・ウィルソン)たち3人の爆弾処理班があたっていた。起爆させ処理しようと班長のトンプソン二等軍曹が防護服を直用して爆弾に近づき準備を終えるが、その直後起爆し、トンプソンは死亡してしまう。
トンプソンの死後、後任としてアフガニスタンから転任してきたジェームズ一等軍曹(ジェレミー・ミナー)が班長として就任する。特殊部隊レンジャー出身のジェームズは変わり者だが、爆弾を恐れず、873個の爆弾を処理してきた優れた技術者だった。しかし、チームプレーを無視したスタンドプレーに防護服を脱いで作業に当たる命知らずの行動に班を共にするサンボーンとエルドリッジは不安とイライラを募らせていた。ある日、解体した爆弾を爆破処理した帰りにイラクの賞金首を追うPMC(民間警備会社)の一団と出くわす。彼らは賞金首を捕らえるも車がパンクし立ち往生していた。ジェームズ達も修理を手伝うが、その時、敵スナイパーの攻撃を受ける。PMCのメンバーが4人がやられる中、元諜報部のサンボーンはPMCが持っていたバレットM82ライフルを手に取り、敵スナイパーを狙う。ジェームズはスポッター(観測手)として協力し、無事、敵スナイパーの排除に成功する。
ある倉庫に爆弾があると連絡受けジェームズ一行が向かう。その際、エルドリッジの精神科医であったケンブリッジ中佐も同行する。しかし、捜索中に倉庫の外に仕掛けられた爆弾によりケンブリッジ中佐は死亡してしまう。倉庫の捜索ではジェームズは爆弾を体内に埋め込まれた子供の死体を発見する。その子を基地でよく相手するDVD売りの子供と思ったジェームズは復讐のため一人で基地の外にでるのであった。
ジェームズ達の任期が残り2日となった時に爆弾ベストを着用した男の対応が命じられる。しかし、男が着ける爆弾はジェームズがこれまで対応したきた中でも難易度が高いものであった。いつ爆発するとも分からない中でジェームズは作業を進める。無事に爆弾を解体して、男を救えるのか? 刻々と時間が過ぎる中、 ジェームズに過酷な決断が迫られる。
戦闘・アクション: 2.5
作品名 | ハート・ロッカー |
原題 | The Hurt Locker |
公開日 | 2010年3月 |
監督 | キャリンス・ビグロー |
ストーリー・レビュー
戦争映画では前線の兵士たちにスポットが当てられがちだが、中々見ることができない爆弾処理班にスポットを当てていることもあり、違った視点から戦争を見ることができる異色な作品。 映画開始直後から爆弾処理のシーンになる。最初はサンボーン達も気楽な感じに見えるのだが、徐々に緊迫感出てくる。不発弾処理とは違い、中東での爆弾処理は常に周囲に気を配らないといけない。いつ、誰がそれを見ていて携帯や無線で起爆されるか分からないからだ。ジェームズの爆弾処理の緊張感も凄いが、周囲を警戒するサンボーン達の緊張感もヒリヒリ伝わってくる。彼らが常にこのような極限の緊張とストレス下に晒されていることがよく分かる。イラクやアフガンでの仕掛け爆弾の脅威は過去の話ではなく、現在進行形の話でもあり、中東何の戦場で起きている事が分かる映画になる。
戦闘・アクションレビュー
爆弾処理班ということもあり、そこまで戦闘シーンは多くもなく、派手さはないが、その分緊張感といい、濃い戦闘シーンになっている。特に一番のシーンはPMCの手助け中に敵スナイパーに狙われるシーンだろう。射手(サンボーン)と観測手(ジェームズ)として抜群のコンビネーションを見せるシーンはスナイパー映画顔負けのシーンになる。そもそも、この映画は予算16億円とハリウッド映画としては低予算になる。その中でこのクオリティの戦争映画は評価に値する。しかし、この映画はミリタリーマニアからすると結構間違いが多いとも言われている。通信によって起爆する爆弾解体時に無線は起爆させる危険があるため着用はしない。BUDの袖を巻くっているが、それは本来、軍では禁止されているらしいし。とまあ、マニアでしか分からないよう事が殆どなので大部分の人は違和感なく楽しめる。