小学生がなりたい職業ランキングで3位になるなど、人気と影響力が日増しに増すYouTuber。企業や広告代理店は彼らが持つ若者への影響力を狙って、人気ユーチューバーとタッグを組んで様々なプロモーションを行っている。そして、それはユーチューバーの本場アメリカでは軍隊の領域まで影響力を広めている。
人気ユーチューバー3人が原子力潜水艦と艦船に乗船
米海軍は技術職の新兵募集をするにあたり、広告代理店とGoogleと組んで科学やテクノロジーに詳しい人気のYouTuber3人を見つけ、一際機密保持が厳しい原子力潜水艦への乗船を特別に許可するなどして新兵募集のPR動画を作成した。
選ばれた3人は 415万人のチャンネル登録者数を誇るVsauce2ことKevin Leiber(ケヴィン・レイバー)氏が原子力潜水艦に乗船して撮影、892万人の登録者を誇る Dallmyd ことJake Koehler(ジェイク・コーラー)氏が爆発物処理班と共同作業、そして145万人の登録者のWilliam Osman(ウィリアム・オサマン)がサイバーセキュリティのチームと協力して動画を作成した。
TechCrunchによると今回の動画作成にあたり、海軍のボレン大佐は「クリエイターたちには彼らの好きなようにさせた。版権は海軍にあるとか、そんな上から目線の口出し手出しをまったくしていない。彼らに海軍の仕事の環境の中で時間を過ごしてもらい、そこで理解し感じたものをオーディエンスに伝えてもらいたかった」と述べている。
それもあり、人気YouTuberである彼らの動画づくりの構成が活かされた仕上がりになっている。これが、新兵募集にどれだけ効果があったかが分かるのは数カ月先になるが、その効果は見ものである。
新兵募集が課題
アメリカ軍では従来のテレビや新聞、ポスターといった従来のメディアを使用したきたが、生まれた時からデジタルを利用する今のポストミレニアム世代以降(1997年~)の若者には届かないと考え、今回のPRを考えた。特に海軍は原子力や暗号技術、セキュリティネットワークといった高度な技術に精通する技術者が不足しており、このような動画の作成にいたっている。自衛隊でもここ数年、隊員数は定員に届いていない。新兵募集ではアニメのキャラクターを使った募集ポスターを使用して若者に訴求をしているが、正直、まだまだアナログである。今後はこういったユーチューバーやインスタグラマーといったインフルエンサーと組んで隊員募集もしていかないといけないかもしれない。