ネイビー・シールズのスナイパーを描いた映画『アメリカン・スナイパー』の中で、主人公のクリス・カイルが屋内の監視地点で自分のすぐ横にオシッコを垂れ流していたシーンがあり、交代に来た仲間から「小便臭いな」と言われるシーンがある。なぜ、カイルは屋内で且つ、自分のすぐ横に尿を垂れ流したのか？実はスナイパー・狙撃手の任務中の排泄行為には厳しい制限があるのだ。
スコープから目を離してはいけない
スナイパーには長距離射撃以外にも諜報、監視、偵察といった役割がある。任務では同じ場所に何時間も留まり監視を続ける。標的がいつ現れるか分からないし、敵がいつ動き出すか分からないので目を離すことはできない。「用を足しに行っている間に敵がどこか行ってしまいました」では冗談ではすまされないのだ。なので、一時も標的から目を離さないように、その場に用を足すのだ。
移動すれば敵にばれる
スナイパーの大前提として隠密行動が基本だ。敵に悟られてはいけないし、居場所がばれてはいけない。彼らは見つからないようギリースーツなどを着用し、野生動物も気づかないほど地形に同化する。もし、排泄の為に移動すれば敵にばれる危険性が増す。また、狙撃・監視ポイントを確保維持することも任務であり、移動すればそれを失う危険性も伴う。敵が居なく完全に安全が確認できる時、または日が落ちるまでは移動するのは好ましくない。
糞尿で危険に
尿を地面に垂れ流すのは好ましくない。尿の強い臭いは野生動物の関心を引き、昆虫、動物を引き寄せ自身の身を危険にさらす。特にジャングルなど動植物が多い場所ではNGだ。では、尿をどうするかというとサバイバルキッドにも入っているコンドームに入れる。コンドームはゴム製で臭いがもれない。若しくはペットボトルがあればそれに入れる。その時、臭いがもれないよう蓋はしっかり閉める。映画でカイルは直ぐ横に垂れ流したが、あれは人間の様々な臭いが混ざり合う市街地、建物の中なので特に問題はない。溜めた尿は移動時の際に元居た場所から離れた場所で処分する。
大便はどうする？
では、ウンコはどうするのであろう。スナイパーは任務に合わせて食事調整を行い、任務中に大便が出ないようにするらしいが、生理現象であり、任務が長引けば便意を催す時がくる。大便は臭いも強烈だ。放置すればハエもたかって、スナイパーの注意は散漫し、羽音で聴覚が遮られるので、尿のようにその場にするというわけにもいかない。どうしても出したい時は戦闘糧食のMREのパッケージの中に入れるらしい。便の入ったMREの袋は尿の時と一緒に移動時に離れた場所に穴を掘り埋める。袋はなるべく臭いが漏れないようにテープで封をする。でないと動物に掘り起こさせる可能性があるからだ。それでも嗅覚のするどい動物には気づかれることがある。その時、気をつけるのはトイレットペーパーを使わない事らしい。掘り起こされた時、トイレットペーパーが風で飛んで、敵に痕跡が気づかれる可能性があるからだ。
でも、ウンチは流石にスコープ見ながらすることできないと思う。では、どうやって対応するのだろう？
今のスナイパーはスポッターの二人体制
『アメリカン・スナイパー』のオシッコのシーンではカイルは一人だったが、基本、狙撃チームはスナイパーと観測手のスポッターとの二人組だ。スポッターは観測手という役割だが、スナイパーの資格を持っており、代わりを担う事はできる。スポッターと一緒の場合であれば便意を催しても、交代して、排泄を行うことができる。しかし、その時でもポイントから基本は移動せずに近くで用を足す。
Source
https://www.quora.com/What-do-snipers-do-when-they-need-to-go-to-the-loo
https://www.quora.com/How-do-snipers-go-to-the-bathroom-while-they-wait
