IWIこと「イスラエル・ウェポン・インダストリーズ(Israel Weapon Industries」はイスラエルの銃器メーカーになります。1933年に設立された国営の兵器メーカーIMI(イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ: Israel Military Industries)の銃器部門だった部署が同社の民営化に伴い2005年に分離独立した会社です。今では世界で最も優れた銃器メーカーの一つになり、IWI社が開発する銃は世界で信頼と人気を得ています。
戦場の実証実証された銃
イスラエルは第二次世界大戦後の1948年に建国された世界の中ではまだ比較的若い国です。ユダヤ人国家であり、国の成り立ちの経緯、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地が交わるその場所に起因して、建国以来、地域の紛争が絶えません。20世紀には四度の戦争(中東戦争)を経験し、21世紀に入ってもパレスチナ問題に起因するガザ侵攻や周辺アラブ諸国、テロ組織との紛争が絶えません。そういった事情もあり、イスラエル国防軍は世界でも最も実戦経験が多い軍隊の一つになり、彼らに武器を提供するIWIの銃は戦場で実証された信頼の高い銃として評価されています。その上、中東地域は砂漠に高温乾燥した風土、さらに昼夜の寒暖差は激しく過酷な環境です。そのような環境と戦場の使用に耐えられるように設計され、それが且つ実証されていて、メンテンナスが容易という点もIWI社の銃の特徴になります。また、イスラエルは工業デザインにも優れており、欧米の銃には見られない人間工学に基づいた独創的なデザインも特徴です。
GALIL(ガリル)
イスラエル軍が初めて採用した国産の自動小銃になります。 名前は設計者のイスラエル・ガリリ氏からきています。1950年代、使用していたベルギーFN社のFN FALは7.62mm NATO弾を使用し強力でしたが重く機動性がありませんでした。1960年代には5.56mm弾が主流になり、軽量化された自動小銃の必要性が出てきます。IMIはAK47、バルメ社製のRK M62とFN FALをベースに5.56mm弾仕様のガリルを完成させます。1972年より歩兵の主力小銃としてイスラエル国防軍に配備されます。
GALIL ACE(ガリル エース)
2009年に発表されたガリルの近代化改修した最新版になります。最新のデザインと素材を使用して精度を高め、重量を減らしながら、悪条件、戦闘条件下でのメンテナンスの容易さ、信頼性を維持しています。最初にコロンビア軍と警察に採用されコロンビア紛争で実戦投入されます。その経験から中南米諸国の多くの軍、法執行機関にも採用されています。5.56mm弾を使用するACE21~23、7.62mm弾を使用するACE52・53があります。
TAVOR(タボール)
イスラエル国防軍歩兵部隊の標準装備のブルパップ方式の次世代型アサルトライフルになり、IWIを代表する銃の一つです。ガリルやM16、M4A1 Carbineにとって代わるアサルトライフルと開発されました。使用弾薬は5.56㎜NATO弾、マガジンはM4と同じになります。 2001年から2002年にかけて行われたテストの結果、人間工学に優れた設計、故障の少なさ、メンテナンスが容易とされ、2009年に歩兵用の標準ライフル銃と採用され、2018年までに前線部隊の配備完了を予定しています。現在では多くの派生モデルも出ています。タボールという名前は旧約聖書、新約聖書においてイエスが昇天したと伝えられているガリラヤ地方のタボール山からとっています。
ARAD(アラド)
特殊部隊や法執行機関向けに2019年に開発された5.56㎜NATO弾を使用するモジュール式のアサルトライフルになります。バレルを簡単に変更する機能を備え、ハンドガードのM-LOKレールに左利きにも対応できるアンビシステム、伸縮式のストックに人間工学に基づいたピストルグリップはあらゆる種類の戦闘シナリオに対応できます。
NEGEV(ネゲブ)
1996年に開発された軽機関銃になります。それまでIWIはMINIMI、FN-MAGをライセンス生産し、イスラエル国防軍に配備していましたが、MAGには重量の懸念、MINIMIは生産しても輸出できない課題があり、自国開発に切り替えます。MINIMIの構造をコピーしながら改良を加えてた開発したネゲブは1997年から分隊支援火器してイスラエル軍に配備されており、軽機関銃として世界的に評価の高い銃になります。
GALIL SNIPER(ガリル スナイパー)
7.62×51mm弾を使用するセミオートマチック式のガリルのスナイパーライフルモデルになり、Galatz(ガラツ)とも呼ばれます。1983年に導入された当初はストックやハンドガードに木製パーツが使用されていましたが最新の生産モデルは合成プラスチックとスケルトン化された金属パーツを使用し軽量化と強度を実現しています。伸縮式のストックを採用し、ハンドガードの下に折畳み式のバイポッドを備えています。最大射程は1000mほどです。
DAN.338
ボルトアクション式のスナイパーライフルになります。名前は聖書に登場する古代都市DANに由来します。対物狙撃のアンチマテリアルライフルになり、強力な.338ラプア・マグナム弾を使用します。イギリス特殊部隊SASも採用しており、イスラム国との戦いでは1200mの距離からISILの幹部の頭を吹き飛ばしたと報じられています。
UZI(ウージー)
陸軍技術少佐のウジエル・ガル(Uziel Gal)が1951年に開発したIWI社が生んだベストセラー短機関銃(SMG)。全世界で1000万挺以上も売り上げました。全長は264mmと短く、拳銃弾の9x19mmパラベラム弾を使用します。構造が簡単でメンテナスが容易で耐久性が高く、価格が安い、そして中東戦争でアラブ諸国を苦しめた事から人気が出て世界各国で使用されます。ジャケットの下にも収まるコンパクトさから警護や法執行機関で多く採用されています。多くのコピー品も製造されています。
JERICHO(エリコ)
1991年に登場した自動拳銃になり通称「ベビーイーグル」とも呼ばれます。イタリアのTA90とチェコのCz75をベースに設計し、Cz75の弱点である剛性不足を解決、メンテナンスも容易にします。また、通称にもあるように当時IMIで製造したデザートイーグルと北米市場を意識して、デザートイーグルの要素も取り入れます。同じスライドとフレームながらバレルやマガジンを交換することで9x19mmパラベラム弾だけでなく、より強力な.41AE弾や.40S&W弾、.45ACP弾も使用できます。エリコという名は、パレスチナの都市の名前に由来しています。
MASADA(マサダ)
2017年に登場した9mm自動拳銃は現代の戦場の高度な要件に対応するために開発されました。反動を軽減するために薄型のバレルを備え、人間工学に基づき設計されたポインティンググリップに両手利きに対応するコントロールシステム、3つのサイズに交換可能なバックストラップの組み合わせにより様々な手のサイズに適合させることができます。フレームには、高強度で耐衝撃性のあるガラス繊維強化ポリマーでできています。あらゆる種類の軍事的環境化と戦闘耐えるように設計されています。
GL 40
シングルショットの40×46mmグレネードランチャーになります。軽量素材で作ら、組み立てが簡単で、取り付けが速く、操作が安全です。単体でも使用できますが、すべてのアサルトライフルと互換性があり、銃身下に装着できます。単独で発射するための迅速に起動できるスタンドアロンオプションが付属しています。イスラエル国防軍(IDF)と協力して開発されたこの汎用グレネードランチャーは非常に正確な発射を実現し、重量はわずか1400g、射程は300~400mになります。