銃の発砲音を抑えるために銃口に取り付ける消音装置。これには2つの言い方があります。「サイレンサー(Silencer)」と「サプレッサー(Suppressor)」。あなたはいつも、どちらのいい方をしています? サイレンサー、サプレッサーと言い方は昔から物議をかもしており、どちらが正しいのか調べてみました。
どっちが正しいのか
歴史的な起源はサイレンサー
消音装置は1903年にアメリカのマキシム氏(Hiram Percy Maxim)が発明しました。マキシム氏は1908年に特許を申請するのですが、その申請資料には 「Maxim Silencer (マキシム・サイレンサー)」と記載しており、これがサイレンサーという単語の起源になります。
法的な呼び方はサイレンサー若しくはマフラー
1934年にアメリカ議会で消音装置の事をサイレンサーと呼び始めます。 これは「サイレンサー」対「サプレッサー」 という議論が起こるずっと前の話です。ATF(アメリカ司法省のアルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)はNRA(全米ライフル協会)のサポートも受け、消音装置を「サイレンサー」という名前で扱っており、以下のように定義しています。
用語「銃器サイレンサー(Firearm Silencer)」又は「銃器マフラー(Firearm Muffler)」の意味は、携帯用銃器の、発泡音を消音または音を抑え減少せる為の機器になり、消音の為にデザイン、設計され任意の部品の組み合わせを含む装置、又はサイレンサー若しくはマフラーを製造する際に使用する目的の部品のみもふくまれる
https://www.atf.gov/firearms/firearms-guides-importation-verification-firearms-gun-control-act-definition-silencer
サイレンサーまたはマフラーという言葉を使っており、サプレッサーというワードは出てきません。法的にはサイレンサーという言葉が正しいという事になります。
サプレッサーという言葉が出てきたのは1980年代
1930年代からサイレンサーという言葉が使用されてきたのに対し、サプレッサーの言葉が使われたのは1980年からになります。サプレッサーという呼び名の起源はサイレンサーを説明する上で生まれた言葉とされています。その意味は次の項の中で説明します。
技術用語的にはサプレッサーが正しい
サイレンサー(Silencer)の動詞であるサイレンス(Silence)の意味は下記になります。
1.静けさ、静寂、音がしないこと
アルク:https://eow.alc.co.jp/search?q=silence
2. 沈黙、無言、話をしないこと
・There was a long pause. : 長い沈黙があった。
3. 無視、黙殺、気付かないこと
消音機器はお分かりのように、完全に発砲音を消すわけではありません。映画などでは「プシュ、プシュ」と結構、音が抑えられているイメージですが、実際は発砲音は結構残ります。下記の動画を見て見てください。
つまり、サイレンサーという事は用語的に正しくないというのが、サプレッサー側の主張です。消音するのではなく、あくまで音を抑えるものだからです。サプレッサー(Suppressor)、サプレス(Suppress)は【抑えるもの、抑制する】という意味になり、こちらの方が用語的に正しいという事になります。前述で述べた、サイレンサーの説明に使われたワードでもあります。われわれ日本人にそのニュアンスにそこまで違和感は感じないのですが、母国語であるアメリカ人にとっては嫌なのでしょうね。
軍関係、銃愛好家はサプレッサーを使う
実際の利用者である軍人や銃愛好家はサイレンサーという言葉には語弊があるという事でサプレッサーを使用しています。
以前、ハリウッドのアクション映画などは総じて、サイレンサーという言葉を使用していたのですが、ここ最近ではアクションや銃を指導するインストラクターがサプレッサーという言葉を利用するため、最近の映画、ドラマの中ではサプレッサーを使う事が増えてきています。
結論
どちらも正しい
サイレンサー、サプレッサーも消音装置を指す言葉として広く使われている言葉であり、どちらの言葉も間違いではありません。定義づけするのであれば、下記になります。
法的用語=サイレンサー(Silencer)
技術的用語=サプレッサー(Suppressor)
あまり詳しくない人と話すときにはサイレンサー、サバゲー仲間や銃に詳しい人と話す際にはサプレッサーみたいな言い方が良いかもしれません。
出典: https://www.silencershop.com/blog/post/silencer-suppressor/