ブラジルは世界で最も治安の悪い国の一つとして有名。2016年のリオデジャネイロオリンピックの際もその点は注目されたが、年間6万人が殺人事件で殺されており、そのうち、70%が銃による犯罪という銃社会でもある。そんな、犯罪多発地域で何を思ったのか銃所持の規制緩和が進められている。
そんな施策を打ち出したのは「ブラジルのトランプ」といわれるボルソナロ大統領 。彼は元軍人で出馬当時から銃による自己防衛論を唱えており、「とフィリピンのドゥテルテ大統領と並ぶ、「目には目を歯には歯を的」な危険な思想の持主でもある。今まで銃の所持には警察による厳しい審査が必要でしたが、今年1月に署名した大統領令により、警察の審査が不要になり、犯罪歴、精神疾患がなく25歳以上であれば、一般市民でも簡単に銃を購入し、所持・保管できるようになった。しかも、一人4丁まで所持が可能になる。
ブラジルがリアル北斗の拳である所以
ブラジルの人口10万人に対する殺人発生率は29.53%で、世界ワースト12位の数字。欧州の30倍になる。ちなみに日本はというと0.28%で下から10番目である。日本とは100倍近い差がある。2015年の殺人死者数は内戦中で無政府状態のシリアよりも多かった。オリンピックが開かれたリオデジャネイロの殺人者数の5分の1は実は警察によるもので、警察には超法規的処刑の権限が与えられており、その場で犯罪者、または犯罪者とおぼしき者を射殺するためたが、確たる証拠もないまま実行されることが多々あり、ファベーラといった貧困住民が住むエリアとの対立も根深い問題になっている。さらにCIAの調べによるとブラジルは世界2位のコカイン消費国になり、薬中も多い。
銃の所持が抑止につながるのか?
ブラジルの警察が昨年押収した銃の80%は厳しい銃規制の中で合法的に購入された銃でした。つまり、単純に銃が出回れば銃による犯罪が増え、更に市民は自己を護るために常に銃を所持することが考えられる。強盗に合えば抵抗して銃で応戦、街中で市民同士の銃撃戦なんて事も起きるだろう。そのような懸念もあってか、実際、国民の61%がこの施策に反対している。
ブラジルの全ての地域が危険という分けで無い。「リオのカーニバル」やアマゾンなど雄大な自然など多くの魅力持っている。しかし、タダでさえ治安が悪い国でこの施策が実施されるとなると、行くには気が引けてしまう……