最近の戦争映画は時代を反映し、中東を舞台にしたテロ戦争や、特殊部隊にフォーカスした映画が多くなっています。その中でもよく見るのがアメリカ軍特殊部隊ネイビーシールズ(NAVY SEALs)。『ゼロ・ダーク・サーティー』、『ローン・ザバイバー』、『アメリカン・スナイパー』のヒットで、かなり知名度が上がっています。しかし、この手の映画を見ていつも気になっていたのが隊員がみんな髭もじゃであること。戦場という過酷な現場だし、任務中は髭剃れないよな～と思っていたのですが、実はあの髭にはちゃんと意味があったのです！今回はそんなネイビーシールズの髭の秘密を紹介します。
アメリカン・スナイパー(字幕版)
ローン・サバイバー(字幕版)
ゼロ・ダーク・サーティ (字幕版)
ネイビーシールズ(Navy Seals)とは？
ネイビーとあるようにアメリカ海軍に属する特殊部隊です。アメリカ海軍特殊戦コマンドの管轄部隊(USSOCOM)であり、2つの特殊戦グループ、8つのチームに分かれて編成されています。前身は第二次世界大戦中の水中破壊工作部隊（UDT）から発展しており、ベトナム戦争において河川や沼地での活動を目的に発足しました。
SEALs(シールズ)という名称は、SEa（海）、Air（空）、Lands（陸）と、陸海空の頭文字から取られており、全ての地域で対応可能という意味になります。またアザラシ（seal）に掛けたネーミングでもあります。個々のチームは「SEAL」になり、10グループ合わせて「SEALs」となります。
ネイビーシールズの髭写真
ちなみに髭を生やしているのは中東に派遣されている部隊が主になります。その理由は後述します。
NAVY SEALsのinstagramアカウントがありました。
上の写真は映画「アメリカン・スナイパー」で有名なシールズの伝説のスナイパー「クリス・カイル」氏です。
ビンラディンを暗殺したTeam6の隊員たちです。全員髭！！このように多くの隊員が髭をたくわえています。
実はアメリカ軍は髭が禁止
米軍では一兵士が髭を生やすのを基本禁止しています。これは自衛隊でも同様です。しかし、一部だけ髭を生やすことを認められた部隊があります。それがいわゆる特殊部隊と言われる人たちです。ここではネイビーシールズにフォーカスしていますが、陸軍特殊部隊のデルタフォース(Delta Force）、アメリカ海兵隊特殊作戦コマンドのマーソック(U.S.MARSOC)など他の特殊部隊でも髭が許されています。しかし、1つ例外があります。それがアメリカ陸軍特殊部隊のグリーンベレー(Green Berets)です。
特殊部隊が髭を生やす理由は
髭は男らしらの象徴
現在、多くの特殊部隊が活動する地域はアフガニスタンやシリアと中東のいわゆるイスラム圏です。イスラム教では髭は男らしさの象徴と言われており、多くの男性が髭を生やしています。
多くの軍では長らく兵士の髭を禁止しています。髭をきれいに剃って顔を整えるのは兵士の嗜みになります。しかし、最近では一部の特殊部隊では作戦のために髭を生やしたり、作戦地域においては髭も許されることもあります。更に髭が兵士の能力を上[…]
なぜ、髭が男の象徴
イスラム教の聖典「コーラン」はご存知かと思いますがコーランの次に重要とされている書物に「ハディース」があります。ハディースは預言者ムハンマドの言行録になり、その中で、ムハンマド自身が髭を伸ばしていたという記述があります。その中には「口髭を刈り、顎髭を伸ばすこと」と書かれており、この記述がイスラム教の男性が髭を伸ばす由来であるとされています。
しかし、これは戒律ではなく習慣です。そのため同じイスラム教でもインドネシアやマレーシアの男性で髭を生やす人は多くありません。ネイビーシールズが活動するアフガニスタンやイラクなどはイスラム圏の中でも戒律にきびしい地域で、イスラム教のしきたりを重んじるこれらの国では髭を生やす男性が多いのです。同じく戒律に厳しいサウジアラビアの王族などもみんな髭を生やしているかと思います。
特殊部隊が髭を生やす４つの理由
- 現地の人に男としての威厳を示すため。髭がないと一人前の男性と見られない。
- 髭がない方が目立つ
- 現地の人ごみの中に紛れるため
- 身元をできるだけわかりづらくするため
あの髭は無精でもなく、作戦遂行のためという立派な理由があったのです。
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