音響兵器といわれるLRADとは?

音響兵器といわれるLRADとは?
Photo by us army

香港や米国のデモや暴動が記憶に新しいかと思います。警察や軍が鎮圧を行いますが、使用されるの催涙弾やゴム弾です。これらは非殺傷兵器ですが、催涙ガスは呼吸器官にダメージを与え、呼吸器疾患を持っている人は最悪、死に至ることも。ゴム弾も当たり所によっては失明といった致命的な傷を負わせことがあります。これらの兵器よりも安全に群衆を撤退、解散させることができる非殺傷兵器があります。それが音響兵器といわれる長距離音響発生装置LRAD(Long Range Acoustic Device)です。

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指向性スピーカー

音響兵器といわれるLRADとは?

LRADとはいわゆる指向性の高いスピーカーです。従来のスピーカーは音が発せられると180度に拡散していきます。しかし、LRADから発せられる音は指向性が高いビーム音と呼ばれるもので狭い30度の範囲で音を発します。ご存じのように音は拡散して離れていくほど弱まります。しかし、ビーム音は音の拡散範囲を限定すること、音量を保ったまま長い距離に音を届けます。音響到達距離は軍仕様の高性能モデルで9kmともいわれています。

LRADは既に15年以上、軍や警察によって使用されています。2004年にはイラクに駐留する米軍部隊に配備されたという報道があり、2005年にはソマリアで活動する海賊を撃退するためにLRAD装置を使用しています。この音響装置をもろに受けると、地獄のような大きな音は耳をつんざき、脳は振動され聴覚器官と脳にダメージを受けます、人はその音に耐えられず、攻撃の意志を無くし、退散します。他の非殺傷武器と比べ、人的被害はないといわれていますが、聴覚器官に障害を与える可能性があるとされています。

ニューヨーク市警がデモ鎮圧にLRADを使用しましたが、その装置の使用によってデモ参加者の一部が「片頭痛、副鼻腔の痛み、めまい、顔面の圧迫感、耳鳴り、騒音への過敏性などの身体的損傷。」を引き起こしたとして訴えています。

兵器ではない

音響兵器といわれるLRADですが、開発するGenasys.Inc(旧LRAD Corporation)は「LRADシステムは音声通信システムであり、武器ではない。鎮圧用途に使う事は使用方法に反する。これらのシステムは、警察が緊急事態の際にはっきりと意思を伝えることを可能にするためだと。」述べています。

警察、消防などが災害時や緊急時に民衆に対して、確実により長い距離で大切なメッセージを伝えることがLRADの本来の役目です。日本国内でも警備や防災用途として導入されています

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