仲間を助けるために手榴弾に覆いかぶさり、頭痛と鼻血だけで済んだ男

仲間を助けるために手榴弾に覆いかぶさり、頭痛と鼻血だけで済んだ男
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手榴弾が投げ込まれ時に周囲の仲間を護るために自分の命を犠牲にして手榴弾に覆いかぶさり、爆発を抑え込む行為。たまに映画などで見かけるシーンだ。手榴弾を覆って爆風と破片を全て自分一人で受け止めるため、大抵、身を投じた人は亡くなってしまう。しかし、このような行為を行いながら頭痛と鼻血だけで済んだ男がいるのをご存じだろうか。

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ワイヤートラップに引っ掛かる

イギリス王室海兵隊のマシュー・クラウチャー(Matthew Croucher)上等兵は2008年当時、アフガニスタンの第40コマンド部隊の偵察部隊に所属していた。彼はそこで、ヘルマンド州サンギーンにある爆弾製造の疑いのある敷地を夜襲する任務に就く。

暗闇の中、仲間三人と共に進むマシューは、膝に何かが当たるのを感じる。彼は直ぐにそれが何のかを本能的に感じ取った。彼は「グレネード!トリップワイヤー!!」と叫び、周囲の仲間に危険を警告。彼はワイヤーが切れ、手榴弾が地面に落ちる音を聞く。彼は他の仲間三人を護るために、咄嗟に落ちたグレネードに覆いかぶさろうとした。しかし、この時、彼は腹面から覆いかぶさることを止めた。それが彼の命を救うことになる。

背中から覆いかぶさった

マシュー・クラウチャー
その時のリュック © Crown copyright

マシューは腹面から覆いかぶさっては爆風を完全に防げないと感じ、背負っていた背中のリュックごと背面から手榴弾に覆いかぶさった。そして手榴弾は爆発する。リュックと着ていた防弾ベストはボロボロに割け、リュックは燃え、ベストとヘルメットには無数の破片が突き刺さっていた。誰もがマシューは死んだと思った。だが、30秒後、彼は自分が生きていることに気づく。しかも、怪我は頭痛と鼻血のみで致命的な外傷は一つも無かったのだ。リュックと防弾ベスト、ヘルメットがマシューの命を救った。

この時、他の2人はいち早く、身を伏せたが、一人は立ったままだった。もし、マシューが身を挺していなければ、もう一人の彼は重傷を負っていただろう。マシューは後退するように命じられるが、爆発に気づいたタリバン兵が集まってくると考え、後退せずに待伏せして敵を撃退している。

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ジョージ・クロス章を授与

これらの一連の勇敢な行為に対し、マシューには自らの危険を顧みずに人命や事故を防いだ者に与えられるジョージ・クロス章がエリザベス女王から授与された。これはヴィクトリア・クロス章と同等の名誉なのだが、ヴィクトリア・クロスは“敵前での行為”に対して、ジョージ・クロスは“敵前ではない場所での行為”が対象となる。爆発時に敵はいなかった。このメダルはこれまで406人に授与されているが、生きて受け取ったのは彼を含めて22人しかいない。

マシューはその後、この一連の出来事を含めたアフガニスタンでの出来事を『Bulletproof』という本にまとめて出版する。しかし、2010年に英国国防省は、英国軍に仕えている兵士が自身の経験について本を書くことを禁じる法律があることを理由に、本は差し押さえられており、現在、本は出版されていない。

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https://www.dailymail.co.uk/news/article-1241936/Royal-Marine-hero-Lance-Corporal-Matthew-Croucher-threatened-bankruptcy-memoirs.html
http://www.militaryspeakers.co.uk/speakers/matthew-croucher-gc/

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