一人で17輌の戦車・戦闘装甲車を撃破したタンクキラー

一人で17輌の戦車・戦闘装甲車を撃破したタンクキラー

9月27日から始まったアルメニアとアゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ戦争は両軍に大きな損害を出している。10月8日時点でアルメニア軍は敵戦車を500輌以上、アゼルバイジャン軍は250輌以上を撃破したと発表しているが真偽は不明だ。とにかく、この紛争、両軍ともにSNSで映像などを交えながら盛んに戦果を公表している。そんな中、アゼルバイジャン国防省がソーシャルメディアでタハール・ミシルハノフという名前の一人の兵士を紹介した。発表された内容によると、なんとこの兵士、一人で17輌もの戦車・装甲車を破壊したのだ。

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対戦車ミサイルオペレーター

破壊した17輌は今回の紛争だけではなく、そのうち6輌は2016年の紛争の時のもの、今紛争では10月6日時点で11輌を破壊している。それでも、凄い数だ。それも一人で破壊したいうのだから凄い。写真を見てお分かりのように彼は戦車乗りでも攻撃機のパイロットでもない、携行式対戦車ミサイルのオペレーターだ。なぜ、彼が17輌もの戦車を破壊できたのか。それは彼が使用して対戦車ミサイルの性能にある。

スパイク対戦車ミサイル 

彼が使用しているのはイスラエルのラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ社によって開発製造されたスパイク(Spike)対戦車ミサイル。第3・4世代の対戦車ミサイルで使用していたのは最新の超長距離タイプのSpike-ER2。アゼルバイジャン軍がER2を使うのは今回の紛争が初めとされる。

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発射後にロックオン

スパイクの弾頭は二つの弾頭を備えたタンデム弾頭で、先頭の弾頭が戦車の爆発反応装甲やモジュール装甲を破壊し、二番目の弾頭が本装甲を破壊する。誘導方式は赤外線画像シーカーを用いた赤外線ホーミングで、弾頭にはカメラが付いており、発射後にミサイルのカメラから送られてくる映像をもとに、対象を画像でロックオンできる。つまり、完全に敵から見えない場所から盲目的に弾頭を発射することができ、敵がいると思われる方向に向けて発射してから敵を見つけてロックオンすればよい。Spike-ER2の最大射程は10kmもある。画像ロックオンはシューターのスキルにあまり依存しないといわれている。

Spike-ER2は長距離射程仕様のため、他のスパイクよりも大口径で重量がある。ミサイルの重さは34kg で、発射台は車両用が30kgと地上発射用が55kgの重さになる。車載システムとして使用されることが多いが、彼は三脚を使用する地上発射用を使用しており、その重量は弾頭と合わせて約90kgだ。一人で持ち運ぶのは無理なので、実際は複数人で運用しており、彼がシューターだったのであろう。

敵が見えない場所でも狙えるとはいえ、攻撃前に索敵は必要であり、攻撃範囲まで接近する必要がある。発射すれば、発射地点を検知され、反撃される危険性はある。特に発射から検知、誘導する間の攻撃時は無防備であり、非常に危険な任務だ。

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