米陸軍は兵士の眠りを助け、脳力を改善させる睡眠キャップの開発を行います

米陸軍は兵士の眠りを助け、脳力を改善させる睡眠キャップの開発を行います
Photo by Petty Officer 1st Class Peter D. Blair

アメリカ陸軍は、脳の脊髄液の流れを最適化し、困難な任務に従事する兵士の睡眠を改善する新しい装置の開発を目指しています。

慢性的な睡眠不足は意欲低下・記憶力減退など精神機能の低下、自律神経系に影響があるといわれています。過酷な戦場に身を置き、強いストレス状態に置かれている兵士は寝つきが悪くなりがちで多くの兵士が睡眠不足に陥っているといわれています。睡眠不足は事故を誘発したり、作戦行動に支障をきたす可能性があり、軍にとっては致命的です。そのため、米軍では日夜、睡眠の改善方法を研究しています。

その一環で米陸軍軍事作戦医学研究プログラム(MOMRP)は、”脳内の脊髄液の流れをコントロールして老廃物を洗い流し睡眠の質を向上させる携帯型のキャップ型デバイス”の開発に総額280万ドルの資金援助を開始しました。このキャップは兵士のパフォーマンス向上だけではなく、記憶障害、アルツハイマー病などの治療にも役立つ可能性があります。

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脳の老廃物を適切に洗い流す

米陸軍は兵士の眠りを助け、脳力を改善させる睡眠キャップの開発を行います
Photo Rice university

脳の中には脳脊髄液と無色透明の液体が循環し、この脳脊髄液は深い眠りに入ると脳内への流入が増え、これにより、脳内にたまった老廃物やたんぱく質を洗い流してくれる「グリンパティック系」という作用が2019年に発表されました。脳脊髄液は、睡眠中に脳の老廃物を排出することで脳の機能を補助するともに衝撃を吸収し、突発的な脳の揺れを緩衝する働きもあります。米陸軍はこの脳脊髄液の流れを分析最適化することで、脳の回復力、睡眠の改善につながると考えています。

プロジェクトの観察段階では、研究者は超音波脳刺激や電気信号を含むいくつかの技術を使って脊髄液の流れをコントロールすることを計画。そして、脳がどのような影響を受けたかを血流を測定する脳波検査、軌道超音波検査、経頭蓋ドップラーなど、さまざまなセンサーを介して脳電気信号を受信します。収集されたすべてのデータと情報は機械学習ソフトウェア(AI)を使用して分析されます。

そして、米軍としては、脳脊髄液をコントロール、分析できる技術を持ち運びが容易で軽量なキャップ型にしたいと考えています。ライス大学の生物科学・生物工学研究所のポール・チェルクリ所長は、「国防総省は、戦闘員のパフォーマンスを向上させるために、睡眠中の戦闘員の脳の健康状態を測定、調整できる小型で携帯可能な帽子を設計できるかどうかを尋ねた。」と述べました。睡眠が改善できれば、兵士のパフォーマンスが向上します。睡眠障害や神経系の疾患に悩む兵士に適切な治療が施せます。もしかすると心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療、改善にも役立つかもしれません。「グリンパティック系」の乱れは脳にタンパク質を溜め、最終的には脳の神経回路網の一部を詰まらせ、神経細胞を破壊、減少することで脳が萎縮していきます。これはアルツハイマー病の原因とされており、治療に役立つかもしれないと期待されています。

この技術プロジェクトの最初の1年間の研究開発は、コロラド大学のエンジニアと、ヒューストン・メソジスト病院のベイラー医科大学の医師が主導します。実験的な「スリーピングキャップ」プロジェクトの研究開発の予備結果は、1年以内に発表される予定です。

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Source
https://news2.rice.edu/2021/09/29/us-army-backs-sleeping-cap-to-help-brains-take-out-the-trash/
https://interestingengineering.com/us-army-funds-sleeping-cap-to-help-your-brain-clear-out-waste

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