アメリカ軍特殊作戦軍(USSOCOM)が使用する強襲攻撃用の小型ヘリコプターAH/MH-6 Little Bird(リトルバード)が今後数年で、その役目を終え、退役するかもしれません。
リトルバードは1983年にSOCOMに採用され、既に40年が経過、ベースとなっているOH-6ヘリは1960年代に開発されたもので半世紀以上が過ぎている。旧式化したリトルバードの退役の話はここ数年議題に上がっており、最終決定を下すタイミングが近づきつつある。
映画『ブラックホーク・ダウン』に登場
リトルバードと聞いて思い起こさせるのはソマリア”モガティシュの戦い”を描いた映画『ブラックホーク・ダウン』だ。特殊部隊デルターフォースを目標の建物まで送り届け、ブラックホークが撃墜した時もいち早く現場に辿り着いた。夜間には機銃掃射で敵をせん滅するなど、映画の中ではブラックホークヘリと遜色ない印象を残し、一躍有名になった。
特殊部隊用強襲へリ
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AH/MH-6リトルバードは1960年代に開発された小型ヘリコプターOH-6をベースに、1980年代、特殊部隊を支援するためにSOCOM向けに開発された。AH‐6(上)が攻撃型で、MH-6(下)が兵員の輸送バージョンになり、AH-6には1分間に6,000発を発射できるM134ミニガンの他に50口径のGAU-19ガトリングガン、ハイドラ70ロケット弾、ヘルファイア空対地ミサイルやスティンガー空対空ミサイルといった様々な兵装を装備できる。MH-6は外装式ベンチを使用して最大4名の兵士を輸送でき、時には狙撃兵を乗せて上空からの狙撃支援を行う。オートバイを搭載することもできる。そして、リトルバードの最大の特徴が卵型の小型のボディで高い俊敏性と小回り力で大抵の場所に着陸、接近可能で、兵員を送り届け、回収することできる。
ナイトストカーズ
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そんなリトルバードを操るのが、アメリカ陸軍に所属する第160特殊作戦航空部隊「160th SOAR(160th Special Operations Aviation Regiment Airborne)」、通称「ナイトストーカーズ(NIGHT STALKERS)」といわれる部隊だ。ナイトストーカーズは陸軍の中でも最高のヘリコプターパイロット集まった部隊で特殊部隊、特殊作戦専用のヘリ部隊になる。主に海軍のネイビーシールズ、陸軍のデルタフォース、レンジャー連隊などが特殊任務を行う際、部隊を目標地点まで届け、回収。時には航空支援も行う。ナイトストカーズの前身は1980年、イランのテヘランで起きた米国大使館人質事件の人質を解放する任務が失敗した後、特殊部隊の地上ユニットを支援するために設計されたエリートヘリコプターユニットであるタスクフォース158であり、その後タスクフォース160と名前を変え現在に至る。この部隊の最初のヘリがリトルバードになり、後にUH-60 ブラックホーク、CH-47チヌークが追加された。
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リトルバードの今後
リトルバードは2000年代以降ミッションエンハンストリトルバード(MELB)と呼ばれる近代化改修を行い、ローターを6ブレードにアップグレード、速度、制御機能、ペイロードを向上させ、ドアを拡大し、着陸装置を改良している。blockIIIと呼ばれるこの改修により機体寿命は延び、2030年まで運用は可能になっているが、既に運用から40年が経ち、1960年代ベースの設計のヘリを陸軍は限界に達していると考えている。更に現在、陸軍では「将来型攻撃偵察ヘリFARA」の選定の真っ最中であり、今後、数年以内に採用が決まるこちらに予算と人員と予算を割きたいとも考えている。そういった事情もあり、SOCOMは2024年にまでリトルバードをどうするか決断を迫られている。一つはblockⅣと呼ばれる改修を行い、今後も使い続けるか、またはFARAなど新しいプラットフォームに置き換えるかだ。
リトルバードはイラクやアフガニスタン、アフリカの市街地戦では、建物の屋上にも着陸できる俊敏性で活躍したが、アフガニスタンからは撤退し、今後はロシア、中国、イランといった大国と対峙していかなければならないかで、リトルバードは脆く、スピードが遅いと指摘されている。そのため、改修して使い続けるよりも、新しいプラットフォームに置き換えるべきとの声が強いとされている。そうなれば、リトルバードは2020年代中に退役するかもしれない。
キティホークモデル 1/35 アメリカ軍 AH-6J/MH-6J リトルバード ナイトストーカーズ プラモデル KITKH50003