AK-203|インド軍の新しい主力小銃

AK203|インド軍の新しい主力小銃

インドは北部のカシミール地方の領土、国境線を巡り長年、中国、パキスタンと争っているが、近年は中国との緊張が過熱化しており、対抗するために老朽化していた軍備の近代化を早急に進めている。そんな中、アサルトライフルの切り替えも進めており、これまでのINSASに替わる形で採用されたのがロシアのカラシニコフ社が開発したAK-203だ。

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これまでの主力小銃INSAS

インド軍はティルチラーパッリ兵器廠が開発製造する国産のINSASを1998年から主力小銃として配備している。AK47をベースにしているが5.56x45mm NATO弾を使用する西側基準を採用している。AK47といえば、どの環境でも使えるタフさが売りだが、INSASは銃身が膨張、プラスチック製のマガジンは寒冷地ではひび割れするなど中国、パキスタンと争う高山地帯のカシミールでは致命的な不具合に故障も多く、国産の弾丸も問題が多いと散々で、2010年には運用上不十分と軍から烙印を押されていた。現場からは新しい小銃への切り替えを要望されていた。

AK100とAK12ベースの新しい主力小銃

AK203|インド軍の新しい主力小銃
Photo by kalashnikov

インド軍は新しい主力小銃に切り替えるにあたり、より強力な7.62×39mm口径を選択。そして、次期主力小銃として2019年に選択されたのが、ロシアのカラシニコフ社が開発したAK-203だ。この銃はAK-74Mの輸出版であるAK-100とロシアの最新主力小銃であるAK-12をベースに2017年に開発された銃だ。

AK-12の安価モデルとなり、AK-12と比べ若干重く、強度も若干劣るとされているが、基本的な内部構造は同様で優れた耐久性と精度を備えておりインドの亜熱帯、カシミールの寒冷地でも問題なく使用できる。改良された折畳み・伸縮式の調整可能なストック、ピカティニーレール、窓付きのマガジン、ピストルグリップなど人間工学に基づいたデザインを取り入れられており戦闘能力は強化されている。バレルとチャンバーを変更することで5.45×39mm、5.56×45mm口径にチャンバー化できる。その性能はINSASを大幅に上回る。

インド国内にてライセンス生産

現在のところ77万挺のAK-203の調達を計画しており、最初の10万挺はロシアから輸入される。残りはインド国内でライセンス生産する計画を立てている。それに伴い、インド兵器廠委員会(OFB)、カラシニコフ、およびロシアの軍事輸出機関であるロソボロネクスポルトの三社の間で合併会社Indo-Russia Rifles Private Limited (IRRPL)社をインドに設立。OFBが株式の50.5%、カラシニコフが42%、ロソボロネクスポルトが7.5%を保有する。ロシアから輸入すると1挺あたり1,100ドルになるが、国内生産することで単価を抑えることができる。

2020年から工場を本格稼働させる予定だったコロナの影響もあり、生産は遅れている。AK-203が普及すればINSASは順次廃止される。

スペック

口径7.62mm
重量3.8kg
全長705mm(ストック折畳時)
880mm(標準時)
940mm(ストック延伸時)
銃身長(バレル)415mm
弾丸7.62×39mm
有効射程800m
装弾数30発

Source
https://www.theweek.in/news/biz-tech/2020/09/03/india-russia-finalise-ak-203-rifle-deal-report.html
https://roe.ru/eng/catalog/land-forces/strelkovoe-oruzhie/assault-rifles-/ak203/

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