アゼルバイジャン空軍司令官はナゴルノ・カラバフ紛争での無人機の戦術を明かしました

アゼルバイジャンはナゴルノ・カラバフ紛争での無人機の戦術を明かしました

アゼルバイジャン空軍司令官のラミズ・タキロフは、ナゴルノ・カラバフでの紛争中に敵の防空を無力化するための興味深い戦術について語り、その方法を映像で公開しました。

2020年9月に勃発したアルメニアとアゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ 紛争は約1カ月半に及ぶ戦闘の末、トルコ製の「バイラクタルTB2」やイスラエル製の「ハロップ徘徊型自爆ドローン」といったドローン・無人機(UAV)を効果的に活用したアゼルバイジャンの勝利に終わりました。 バイラクタルTB2やハロップは最新鋭の無人機ですが、アゼルバイジャンは旧式の機体も戦場に投入していました。それが1940年代に開発されたソ連製の複葉機アントノフAn2です。

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無人機のAn-2を使った陽動作戦

アゼルバイジャン空軍は紛争に多数の古いAn-2を戦場に投入しました。その役割はアルメニアの防空システムをおびき出すための囮です。

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戦術

古いAn-2はもともと有人機であり、現代の無人機のように遠隔操作はできないため、2人のパイロットが搭乗・操作する形で離陸します。

機体を目標の進路に設定すると自動飛行モードにして、パイロットはパラシュートで脱出します。この時、操縦桿をベルトで固定していたという話もあります。

An-2の自動飛行モードは旋回はできないため、敵陣地に真っすぐ侵入します。

低速、低高度で直進しかしない囮のAn-2にアルメニア軍はまんまと反応してしまいます。アルメニア軍は侵入するAn-2に対し、短距離防空ミサイルシステム’Tor-2MKM’を起動。ミサイルはAn-2を撃墜しますが、ミサイルを発射したことにより、防空陣地の場所を露わにしてしまいます。

安全な空域で監視しているバイラクタルTB2など偵察ドローンが防空陣地の位置を検出しデータ送信。ハロップやスカイストライカーといった自爆ドローンや攻撃ヘリからのスパイク・ミサイルを使って陣地を破壊し、アルメニアの防空陣地を無効化します。An-2には大量の爆薬を搭載しており、もし、仮に撃墜されなくとも、そのまま自爆ドローンとして敵陣地に無差別な攻撃を与えます。

電子戦も積極的に行われ、アルメニアの対空レーダーを妨害し、誤った標的を作成しました。紛争の序盤で、アゼルバイジャンはアルメニアの防空システムの最大60パーセントを無効にすることに成功しています。

An-2は中古市場で6,000ドルから3万ドルと格安で取引されており、無人の機体は迎撃されても損害は軽微です、むしろ、対空ミサイルの方が高価であり、経済的損失は撃墜側の方が高くなります。

アルメニア軍は当初、An-2を撃墜しても、パイロットの遺体が無いことに困惑していました。

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