12日に発表されたアメリカン・セキュリティ・プロジェクト(ASP)の報告書によると、アメリカ軍の現役兵士の70%以上のBMI値が過体重または肥満の範囲内にあることが分かった。アメリカ国家統計局によると、BMIが25~30の人は臨床的に経度の肥満(太り気味)とみなされ、30を超えると肥満とみなされる。
レポートによれば米軍の現役兵士10人中7人が体格指数(BMI)に基づく数値において25以上を記録しており、過体重または肥満であることが分かった。米軍には全体で140万人の兵士がいるが、その内、100万人が肥満という計算だ。「BMI = 体重kg ÷ (身長m)2」の計算式は世界共通であり、日本肥満学会の判定基準でもBMI値25〜30未満を「肥満(1度)」に分類している。
米国防総省のデータによると、BMIの計算式を基にしたアメリカ国内の肥満率は、過去10年間で10%から約21%と2倍以上になっており、アメリカの若者の半数以上が肥満と認定されており、17歳から24歳のアメリカ人の4分の3が体重過多などの理由で兵役に就く資格がない。米軍の採用試験での失格理由も第1位が肥満で、陸軍の採用試験では10人に1人が肥満、体重を理由に落とされている。また現役兵士の肥満の増加は新型コロナのパンデミックの影響も大きく、米陸軍では活動が制限された2019年2月から2021年6月までに1万人以上の現役兵士が肥満になった。
肥満は兵士の即応性が損なわれ、戦闘能力を低下させる。体力テストでも、肥満体の兵士は、BMIが正常値の兵士よりもスピードや敏捷性が劣る。また、肥満は負傷、健康に害を及ぼす可能性を高くし、実際、肥満の兵士は通常の体重の兵士よりも平均して18ヵ月早く退役しているというデータもある。
報告書では肥満の増加が国家安全保障を損なう可能性があると警告している。「すべてのサービス、階級、地位にわたる肥満の急速かつ持続的な再発は現在、特に危険にさらされている集団や重要な戦闘任務に就いている人々にとって、恐ろしい脅威となっている。米軍内で肥満を監視し、対処するための効果的な戦略の立案は、他の慢性疾患と同様に肥満を治療することから始まる。」と報告書には記されている。また、報告書では現役兵士に肥満が蔓延しているのは道徳的欠陥ではなく、健康危機だと指摘。肥満の理由を意志が弱い、規律の不足として捉えると、兵士は治療を求めて受けることができなくなり、指揮官や医療従事者は介入する傾向が薄れ、軍全体の健康状態が悪化すると指摘。まずは軍保健局が肥満を軍全体の慢性疾患とみなして適切な治療を徹底、また戦闘任務中の肥満の悪影響についての認識を促進する必要があると提言した。
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