トルコの軍事ドローンメーカーBaykar（ベイカー）社は同国で開催された航空宇宙技術展示会Teknofest 2022で現在開発中の戦闘攻撃無人機「バイラクタル KIZILELMA（クズルエルマ）」のプロトタイプを公開しました。
バイラクタルシリーズの最新鋭機「赤いリンゴ」
「バイラクタル KIZILELMA（クズルエルマ）」はバイラクタルTB2の成功で、世界の軍事ドローン市場で確固たる地位を築いたトルコのBaykar（ベイカー）社が開発するバイラクタルシリーズの戦闘ドローン・無人機（UAV）です。KIZILELMAはトルコ語で「赤いリンゴ」を意味し、海外では”レッド・アップル”とも呼ばれています。
Photo Baykar一時はロシア軍に握られたと思った制空権だが、ウクライナの防空システム、空軍は未だ健在であり、どうやら制空権は完全には握られてはいなく、地域によってウクライナ軍が掌握しているようだ。それを示すようにウクライナ[…]
音速で飛行する高速戦闘ドローン
クズルエルマは2013年に概念研究が始まり、2021年7月から本格的に開発が始まった新しい概念の軍用無人機です。クズルエルマがこれまでベイカー社が開発してきた無人機・ドローンと異なるのが推進機構です。バイラクタルTB2や同じく同社の最新攻撃ドローンであるAkıncıはプロペラ推進で飛行します。米空軍が運用するMQ-9リーパーなども同じくプロペラ推進と、プロペラ推進が主流の軍用無人機においてクズルエルマはシングルジェットエンジンを搭載します。エンジンはウクライナの航空エンジンメーカーIvchenko -Progress製になり、最初のプロタイプでは同社のAI-25TLT エンジンを搭載し、速度735km/h（マッハ0.6）を予定、これはバイラクタルTB2の最大速度220km/hの3倍以上、Akıncıの360km/hの倍以上になります。次のプロタイプではアフターバーナーを搭載し、超音速飛行可能なAI-322Fエンジンを搭載する予定です。
無人機は有人の戦闘機に比べ低速のため、今のウクライナとロシアの戦争のような対空兵器が配備された戦場では撃墜されやすいというデメリットがありましたが、高速飛行することで撃墜リスクを減らすことができます。また、短い滑走路でも離陸を可能にし、トルコ海軍の強襲揚陸艦の全通甲板からも発着艦可能になるよう計画されています。
その他、スペック
運用高度は35,000ft（10,500m）と短距離防空ミサイルの届かない高高度を飛行。行動半径は約930km。航続時間に関して5時間とバイラクタルTB2の27時間と比べると短くなっており、長時間上空を飛行し、偵察というよりもより攻撃に特化した一撃離脱の運用が主と推測されます。
最大離陸重量は6000kg、ペイロードは1500kgとこれはAkıncıと同じであり、同機が計9種類の兵器を搭載できることを考えると、同等の兵装能力があると推測され、対地、対空双方の攻撃能力を有すると思われます。これらの武装はウェポンベイに収納され、機体はレーダーに探知されにくい低RSC（レーダー反射断面積）化したいわゆるステルス機になります。
ヨーコントロールは、2 つの垂直スタビライザーで実現されます。機体には、操作性の向上、主翼の気流をより適切に制御するために、前尾翼の操縦装置が結合されています。アビオニクスについてはまだ詳細な情報は開示されていませんがAESA レーダーを搭載しています。
2023年に初飛行を予定しています。
Photo Baykarトルコ空軍（TAF）は8月29日、エルドアン大統領同席のもと行われた受領式典でBaykar社の新しい無人攻撃機（UCAV）「Akıncı（アキンジィ）」を受け取りました。 Akıncıはトルコの防衛[…]
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