一時はロシア軍に握られたと思った制空権だが、ウクライナの防空システム、空軍は未だ健在であり、どうやら制空権は完全には握られてはいなく、地域によってウクライナ軍が掌握しているようだ。それを示すようにウクライナ空軍は攻撃ドローンによる攻撃行い、その映像を公開した。
この映像はウクライナ軍が所有する攻撃偵察ドローン「Bayraktar TB2（バイラクタルTB2）」によるロシア軍車列への攻撃だ。キエフの西部ジトーミルに展開していたロシア軍の自走対空兵器9K37 Bukを攻撃。対空兵器のはずのBukだがドローンの存在に気付かずに破壊されている。
– Ukrainian army: tuk-tuk.
— ANTONOV Company 🇺🇦 (@AntonovCompany) February 27, 2022
– Russian army: who’s here?
– Ukrainian army: your ticket to home#StopRussianAggression #Ukraine #Bayraktar pic.twitter.com/FNSZs0gyrn
TB2はウクライナ軍の切り札の一つといわれていたが、ロシア軍との戦闘では航空優位性がとれないとして、ロシア軍には通用しないと言われていたが、ロシア軍の脅威になっているようだ。これらの戦果を称賛するようにウクライナではバイラクタルTB2を称える歌も作られている。
A very Turkish and a very Crimean Tatar tune in my ears: Bayraktar!
— Oleksii Makeiev 🇺🇦 (@Makeiev) March 2, 2022
pic.twitter.com/R3y5kHuxo8
そのTB2とはどういった機体なのだろう。
バイラクタルTB2とは
「バイラクタルTB2」はトルコの防衛企業であるBaykar（ベイカー）社によって開発された中型の無人偵察攻撃機（UAV）になり、2015年6月にトルコ軍に初めて配備された。TB2は主に偵察および諜報活動を実施するためのプラットフォームとして開発され、電気光学/赤外線カメラ、レーザー指示装置、レーザー距離計、レーザーポインターが搭載されている。2015年末にはミサイル発射に成功し、攻撃ドローンとしても運用可能になる。最大150kgのペイロード、翼には4つのハードポイントがあり、最大の4つの長距離対戦車ミサイル、小型精密誘導爆弾、レーザー誘導ミサイル/ロケットを搭載できる。誘導弾のMAMは200 mmの装甲を貫通する威力を持つ。
最大の特徴として短距離対空ミサイルの射程外である高度5000～8200mの高高度を巡航速度130km/hの低速で最大27時間、6000kmを昼夜関係なく飛行できる点だ。一度飛び立てば長時間に渡って諜報監視活動ができ、無人の遠隔操作、自律飛行も可能なのでオペレーターの疲労もない。ただ。衛星による遠隔操作はできないので、操作範囲は基地局から300kmと短い。2020年10月に発表された「バイラクタルTB2S」には衛星リンク機能が付いている。
ナゴルノ・カラバフ紛争で名をはせたTB2
バイラクタルTB2が有名になったのは2020年のアルメニアとアゼルバイジャンによる「ナゴルノ・カラバフ紛争」だ。トルコの支援を受けていたアゼルバイジャンがTB2を使ってアルメニアの防空陣地や戦闘車の配置を丸裸にして、大きな戦果を挙げたことで一躍有名に。その後、ポーランド、パキスタン、イラク、エチオピアなど多くの国が採用を決め、発注した。TB2は基本6機が1セットで2台の地上管制局、3台の地上データ端末、2台のリモートビデオ端末、および地上支援装置がセット6,900万ドルになる。
アゼルバイジャン空軍司令官のラミズ・タキロフは、ナゴルノ・カラバフでの紛争中に敵の防空を無力化するための興味深い戦術について語り、その方法を映像で公開しました。2020年9月に勃発したアルメニアとアゼルバイジャンのナゴルノ[…]
ウクライナ軍のTB2の機体数は少ない
ウクライナはこのバイラクタルTB2を2019年に6機調達。東部紛争で使用し、成功を収めたことで2021年9月に追加の24機を数か月以内に購入することを発表。その後、ウクライナとトルコはウクライナ国内で48機のバイラクタルTB2を生産することに合意していたが、おそらくロシア侵攻までに国内生産は間にあっておらず、調べる限りはウクライナ軍の保有数はわずか6機と思われる（12機という報道もあるが、過去の経緯を見ても12機を示す情報がない）がロシア軍は2機のTB2を撃墜したと発表している。これが本当ならTB2の残りは4機になり、残る機体は少ない。しかし、開発生産元のトルコはウクライナへの支援を表明しており、黒海のロシア軍艦船の通航制限を示唆している。このトルコは100機以上のTB2を保有しており、トルコが武器供与の支援を表明すればこれが提供される可能性はある。NATO各国が武器の支援を続々と表明する中、NATOのトルコにもその行動を望みたい。（レズニコフ国防相が2日に追加で数機をトルコから受け取った発表している）。
