ドイツの反対でサウジにユーロファイターを販売できずで英国の生産ラインが閉鎖か

ドイツの反対でサウジにユーロファイターを販売できずで英国の生産ラインが閉鎖か
NATO

今年7月、ドイツのショルツ首相は中東サウジアラビアが求めていた48機のユーロファイター・タイフーン戦闘機について販売しないと明言。最大57億ユーロ規模の取引が頓挫した。これによって大きな打撃を受けたのがイギリスで、数万人の雇用に影響を与えている。

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中東のサウジアラビアは72機のユーロファイターを配備中だが、老朽化したトーネード戦闘攻撃機の代わりとして48機の追加購入を計画。販売にはユーロファイターの共同開発国であるイギリス、ドイツ、イタリア、スペインの4か国の承認が必要だが、イギリスは売却を承認。2018年にはイギリスのBAEシステムズと覚書を結んでいた。しかし、2023年7月にドイツのショルツ首相がサウジアラビアへの売却に反対の姿勢を示したことで、契約が頓挫。ドイツが反対した理由はサウジアラビアの人権に対する姿勢だ。

サウジアラビアはイエメンのハーディー政権への協力として2015年からイエメン紛争に介入。反体制派のフーシ派に空爆を行っているが、民間人も巻き添えにしているとドイツは主張。さらに2018年に起きたサウジアラビアのジャーナリストであるジャマル・カショギ氏がトルコのイスタンブールにあるサウジアラビア総領事館で殺害された事件。彼はムハンマド皇太子を批判する記事を書いており、皇太子の指示によって殺害されたと言われている。人権に重きを置くドイツはサウジアラビアの人権姿勢に懸念を持っており、ユーロファイターの売却に反対した。

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これに最も割を喰ったのが生産を請け負う予定だったイギリスだ。覚書を結んだBAEシステムズは48機の受注があると見込んでいたわけだがそれが無くなってしまった。イギリス空軍はユーロファイターを2025年から段階的に廃止するため、このまま新規の注文がないとラインを閉鎖するしかなくなる。工場では6000人の職員を抱えており、サプライチェーンを含めると28000人の雇用に影響を及ぼすことになる。

ユーロファイターの生産は多国籍企業のエアバス、イギリスのBAEシステム、イタリアのレオナルドの共同出資で創設されたEurofighter GmbH社が担っている。本社はドイツにある。そして、部品の3分の1はドイツ製。ドイツの承認なしには生産することができない。イギリスのスナク首相はショルツ首相の説得を試みているが、首を縦に振らない状況だ。このまま、ユーロファイターのサウジアラビアの売却承認が下りないと、代わりにフランスのラファール戦闘機を購入するのではといわれている。フランスはイギリス、ドイツ、イタリアと共に欧州戦闘機の共同開発計画に参加していたが、政治的理由で袂を分かつたユーロファイターのライバルだ。

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Source

https://www.dailymail.co.uk/news/article-12695119/uk-jobs-risk-saudi-arabia-typhoon-deal-germany.html

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