イギリス国防省(MoD)は8日、開発中の高出力レーザー兵器「DragonFire(ドラゴン・ファイア)」が航空機の金属装甲を融解させることに成功したことを発表。レーザー兵器としての実用化に一歩近づきました。
MoDの防衛科学技術研究所 ( DSTL ) は10月28日、ポートンダウンにある実験場で英国初の高出力、長距離レーザー指向エネルギー兵器 ( LDEW ) のテストを行いました。テストでは2.1マイル(3.38km)以内の距離から、様々な材料で構成されたドローンなど空中ターゲットに対し、DragonFireの高出力レーザービームを照射しました。
DragonFireは1 億ポンド (165億円) の資金でイギリスのLeonardo(レオナルド)UKによって開発されています。レオナルドはレーザーターゲティングシステムなど高エネルギー軍用レーザーの国際市場の約60%を占めており、同社が開発するDragonFireはピンポイントでの精度が高く、照射されるレーザーは最大50kwの高出力を誇ります。実験では航空機やミサイルの迎撃を想定した素材で構成されたドローンの撃墜に成功。ドローンは炎上し、様々な素材で構成された装甲を融解させることに成功します。DragonFireが航空機やミサイル、砲弾に迎撃に有効であることを証明しました。また注目すべきはレーザーが減衰するとされる雨天下の中でも迎撃に成功しており、大幅な減衰は見られませんでした。
試験の結果をうけ、DSTL テクニカル パートナーのBen Maddison氏は「今回の試験は、レーザー自体の性能を評価しました。結果は、イギリスが指向性レーザーエネルギー兵器システムに関連する技術において世界をリードする能力を持っていることを示しています。レーザー兵器は、イギリス軍がさまざまな脅威から防御するための新しい力になる可能性があります。光速の迎撃にはタイムラグがありません」と述べています。
順調にいけば、DragonFireはイギリス海軍の23型フリゲートと陸軍のウルフハウンド装甲車に対ドローン用兵器として搭載される予定です。
Source
https://www.gov.uk/government/news/laser-power-moves-a-step-closer-for-uk-defence